東京 秋葉原のUDXギャラリーにて、オートデスクの3DCGツール「Autodesk 3ds Max 2011」と、3DCG統合ツール「Autodesk 3ds Max Entertainment Creation Suite 2011」に関するセミナーが行われた。前編に続き、「3ds Max」や「Maya」、「Softimage」などの3DCG作成ツールで作った3Dデータを、アニメーションさせるためのツール「MotionBuilder 2011」や、直感的に3Dキャラクターを作れる「Mudbox 2011」などの新機能を紹介していく。

3Dデータに命を吹き込む「MotionBuilder 2011」

MotionBuilder 2011は、単体での発売の他に、3DCG統合ツール「3ds Max Entertainment Creation Suite 2011」に収録されている高性能キャラクターアニメーション作成ツール。もちろん「3ds Max 2011」には従来通り「Bipet」と「CAT」の機能が含まれているので、キャラクターのアニメーションを作成可能だが、MotionBuilder 2011を使うともっと高速の動きをつけることが可能とのこと。

「MotionBuilder 2011」はキャラクターをアニメーションさせる機能だけに特化したツール

MotionBuilder 2011最大の特徴は、「フルボディーIK」を使用できるところ。これは、身体の一部を動かしたときに、全身の関節を無理のない姿勢に自動的に可動させてくれる。加えて手や足を一定箇所に止める「ピニング」や、自動で接地面を追従し続ける「フロアコンタクト」の機能も搭載されている。また、撮り直しの概念もあるため、一度モーションをつけたあとで気に入らなかったら、作ったモーションを消さずに「テイク2」を始めることも可能。当然、FBXファイルとしてモーションデータを出力するときは、「何テイク目」を採用するかを選択できる。

「3ds Max 2011」で作ったキャラクターを読み込んで「キャラクタライズ」をすれば、すぐにアニメーションさせられる

他のキャラクターの動きをコピーすれば、別のキャラクターにも同じ動作をさせられる

GPUレンダリングに対応しており、このように複数のキャラクターが動き回るシーンでも快適に作業できる

既存の3Dデータにペイントしたり加工する「Mudbox 2011」

「Mudbox 2011」はMotionBuilder 2011と同じく「3ds Max Entertainment Creation Suite 2011」に収録されているツール。主な用途は、3ds Max 2011で作成したキャラクターのテクスチャーを描いたり、彫刻刀やナイフのようなツールで彫り込んでディティールアップを行なうためのツール。

3DCGに直接ペイントできるツール。もちろん展開したUVマップにペイントすることも可能

3Dキャラクターにペイントするときは、まるで「Photoshop」のようにレイヤーを作って「塗り」を管理できる。レイヤー機能は従来のバージョンから搭載されていたが、Mudbox 2011からはレイヤーの合成方法を選べるようになった。「乗算」や「加算」、「スクリーン」などが選択可能なので、ますますPhotoshop感覚で使える。

キャラクターを360度回転させられるため、このように顎の下もペイントできる

どうしても二次元で塗りたいときは、UVマップの展開図を表示させればよい

CGと映像を違和感なく合成する「3ds Max Composite」

3ds Max 2011にはCGと写真や映像を合成させるツール「3ds Max Composite」が同梱されている。デモンストレーションでは米国ILMが開発したファイルフォーマット「OpenEXR」で圧縮された4K画像を使った合成が行なわれた。

「3ds Max Composite」の作業画面

3ds Max Compositeはインタフェースに特徴がある。作業画面を広く取れるように、画面上に表示されているツールは最小限。なにか作業を行なうときは、ツール群を一時的に表示させたり、画面を分割させて行なう。このインタフェースにより、快適に画像編集を行えるとのこと。

ノードを繋げながら映像を合成していく

作業エリアは立体空間になっているため、奥行の概念がある

3ds Max Compositeと3ds Max 2011との連携に関しては、「研究所のテーブルの上に小さな恐竜がいて、それを博士が見ている」という映像の制作方法を例に紹介された。このデモで使われた恐竜は3ds Max 2011で作成されたもの。それを3ds Max Compositeに取り込んで、色の調整(カラーコレクション)を行う。色の調整を3ds Maxではなく3ds Max Composite側で行なう理由は、違和感のないリアルな映像を作るためとのこと。3ds Maxでも色の調整は可能なのだが、実写映像の色とぴったり合わせるには3ds Max Compositeのほうが遥かに高機能とのこと。完成した映像では、確かに実写と3DCGが完全に違和感なく合成されていた。

これが元の映像。テーブルの上にはなにもいない

トラッキングを行なってカメラの動きを検出する。この際に動きの激しい右側の博士はマスクをかけて除外させていた

「3ds Max 2011」で作った恐竜を「3ds Max Composite」でカラーコレクション。色を少しずつ変更している

各ピクセルが移動する方向を色別に表示している。この情報を元にブラーをかける

実写映像に恐竜を合成したところ。カメラの動きとぴったり合っていた