Freescale Semiconductorは、ワイヤレス・ネットワークで利用されるマクロ基地局、中継局およびフェムトセル基地局向けに最適化された4つの新デバイスを投入し、GaAsモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)市場に参入することを発表した。

今回発表された新製品は、高いRF性能が要求されるワイヤレス基地局装置の2つの構成要素である、受信系の低ノイズ・アンプと送信パワー・アンプを対象としており、RF性能を維持しながら低消費電力を達成するように設計されていることが特長となっている。

同社は、ワイヤレス基地局で利用されるSi RF LDMOSパワー・トランジスタの提供も行っているが、今回の製品も含めた同社の汎用アンプ(GPA)ファミリは、InGaPヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)およびGaAsヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)をベースとしており、幅広いRFおよびマイクロ波アプリケーションを対象としている。

「MML09211H」は、エンハンスメント・モードpHEMT MMIC低ノイズ・アンプで、865~960MHz帯域のW-CDMA基地局から現在728~768MHz帯域で実装されている高データレート・ネットワークまでのアプリケーションに最適化されている。0.6dBのNF指数を実現しており、400~1400MHzの動作をサポートしている。小信号利得は900MHzで20dB、P1dB出力は21dBm、アイソレーションは35dB以下、3次出力インターセプト・ポイント(IP3)は900MHzで32dBmとなっている。

「MMA20312B」は、2ステージInGaP HBTパワー・アンプで、ワイヤレス基地局や中継局、フェムトセル基地局での利用を想定して設計されている。特に、フェムトセル基地局の場合、このデバイスにより、高効率を実現しつつ、リニアリティ要件を満たすことができるようになると同社では主張している。1800~2200MHzの動作をサポートし、P1dB出力は2140MHzで31dBm、小信号利得は26dBとなっている。

残りの2つのブロードバンドMMICアンプは、どちらも送信チェーンのドライバ・アンプや受信チェーンの第2ステージ低ノイズ・アンプとして最適化されており、典型的なHBTソリューションよりも少ない消費電流で優れたリニアリティを実現することができる。

「MMG15241H」は、500~2800MHzの動作をサポートするpHEMTデバイスで、NFは2140MHzで1.6dB、P1dB出力は24dBm、IP3は39dBm、小信号利得は15dBとなっている。一方の「MMG20271H」は、1500~2400MHzの動作をサポートする低ノイズ・アンプで、NFは2140MHzで1.8dB、P1dB出力は27dBm、IP3は42dBm、小信号利得は15dBとなっている。

なお、4製品ともに、2010年6月までに一部の顧客向けにサンプル出荷を開始する予定としており、一般向けサンプル出荷を2010年8月に開始する予定としている。また、リファレンス・デザインをはじめとしたさまざまな製品設計サポート・ツールも出荷が予定されている。