東北大学 多元物質科学研究所の研究グループは、「らせん形状のSiのマイクロチューブ」を作製することに成功したことを発表した。

今回の研究成果は、Naを利用した新たなSiの結晶作製法やSiの高純度化手法に関する研究を進める中で発見された。

合成方法は、Si粉末をNaとともに700℃で加熱して、ナトリウムシリサイド(NaSi)の粉末を作製。NaSiの粉末を金型に入れて円盤状に加圧成形したものを、Arガス雰囲気中800℃で加熱するとNaSiからNaが蒸発してSiの円盤ができ、その表面に多数のらせん形状を有するSiマイクロチューブが生成されるというもの。この合成に用いられたNaは回収して再利用することが可能だ。

生成されたマイクロチューブの太さは約20μm、長さは最大で2.5mmで、チューブの多くがらせん形状をしており、表面にはnmサイズの多数の凹凸が観察された。このマイクロチューブは右巻きと左巻きの両方が見出されており、X線回折法および電子線回折法で解析したところ、Siの結晶であることが確認されたという。

走査型電子顕微鏡で撮影したSiマイクロチューブの拡大写真

また、マイクロチューブ内部には、数十nmの穴も多数観察されている。同大では、この発見が、マイクロデバイスの部材や触媒担体など、特異な形態や構造を活かしたSiの新たな用途の開拓につながり、Si産業の発展に貢献するものと期待するとしている。