半導体製造装置大手のApplied Materials(AMAT)と、その子会社でFPD向け製造装置を手がけるエーケーティー(AKT)は4月15日、タッチパネル製品向けとして第4.5世代に対応したITOロータリーカソード技術を開発したことを明らかにした。
同技術は、同社の縦型スパッタリング装置「New Aristo」ならびにロール・ツー・ロール(R2R)スパッタリング装置「Applied SmartWeb」に対応したもので、タッチパネル製造における各種の成膜プロセスに対応する。特にITOについては、「パネルの上にタッチパネル部分を形成する場合の一般的な構造を見ると、どの層においてもITOは用いられ、ほとんどのカスタマが必要としている」(AMAT Senior Manager,GLOBAL Product Management,Sputter Products, AKT Display GroupのUwe Muhlfeld氏)とする。
Aristoはガラス蒸着向けのスパッタリング装置で、SmartWebはフィルム蒸着向けのスパッタリング装置。AristoについてUwe氏は、「ITOのほかにもロータリーターゲットを変更すればSiO2でも、タッチパネル向けのメタル蒸着(主にAl、Mo、AlNd、MoNbの4種類)でも何でも対応することができる。Aristo自体は一般的なLCD向けに第8.5世代まで対応可能だが、今回のタッチパネル向け第4.5世代ITOロータリーカソードの登場で、より活用されることになるはす」と期待を覗かせる。
一方のSmartWebは、製造コストの低減を狙ったもので、メンテナンス性の向上や省フットプリントを意識したR2Rのスパッタリング装置となっている。1台に3つのカソードを搭載することが可能で2台までつなげることができる「SmartWeb」と6つのカソードを搭載でき、やはり2台までつなげることができる「SmartWeb XL」がタッチパネル用フィルム向けに提供されている。
1プロセスモジュール当たりのスループットは、SiO2/ITOで6m/min、年間生産能力は1300mm幅の場合で2.5Mm2としており、「大型化と高い信頼性に対応することで、よりコストダウンが可能となる」(AMAT Product Line Head,Web Coating Products,Energy&Enviromental SolutionsのJohn D.Busch氏)とより大型なフィルムでの生産が可能となることでフィルムタイプのタッチパネルのコスト削減が進むことを強調する。
なお、同社では、Aristoを用いたタッチパネル製造はパネルメーカーがメインで、SmartWebを用いたタッチパネル製造はなんらかのフィルムを扱うメーカーであることが多いとみており、より大型のタッチパネル製造に向けた要求が高まれば、さらに大きな世代に対応するロータリーカソードの開発も行うとしており、具体的に「どことは言えないが、AristoではノートPCなどへの適用を前提として第6世代程度までの対応が要望されており、これについては2011年には対応したいと考えている」(Uwe氏)とするほか、Busch氏も「R2Rについても、従来以上に大きなものを作りたいとの要求があれば、問題なく対応できる技術力がある」ということをアピールしていた。