Intelは3月31日、既報のとおりミッションクリティカルやHPCなどのハイパフォーマンスが要求される分野のサーバ向けプロセッサ「Intel Xeon 7500シリーズ」を発表した。

インテル代表取締役社長の吉田和正氏

同製品の発表に際し、同社日本法人インテルの代表取締役社長である吉田和正氏は、「インターネットの発展と、それによる新たなサービスの誕生は、我々が予想していた以上にサーバのパフォーマンスを求める状況となっている。また、それと同時にデータセンターの消費電力増大に対応するグリーン化といった要求も出てきており、そうした複雑化する要求に対応できる取り組みが求められていた」と現在の市場背景を説明。同社としても2010年に入ってから「Itanium 9300シリーズ」、「Xeon C5500/C3500シリーズ」、「Xeon 5600シリーズ」、そして今回のXeon 7500シリーズと、矢継ぎ早に各種用途に対応するプロセッサを発表することで、そうした状況に柔軟に対応しようとしていることを強調する。

Intelはエンタープライズのニーズに応じた製品展開を強化してきた

「今、ITの世界では変革が起きようとしており、まさに今こそがIT投資に対して重要な時期に差し掛かっている」(同)というのが、ITの動向に対する同社の見解であり、2010年に発表した各種プロセッサを活用することで、こうした状況に対応が可能となり、それが結果的に新たな変革を生み出すことへとつながるという。特に、今回のXeon 7500シリーズに対しては「Nehalemアーキテクチャに基づいたXeonであり、コア数の増加だけではなく、Hyper-Threadingやターボブーストに加え、20以上のRAS機能を新たに追加したことで、信頼性や拡張性の向上により、RISCサーバがメインだったミッションクリティカル分野をオープンシステムへと移行させることが、より身近になるもので、これを踏まえて、戦略的なIT投資という言葉を改めてエンタープライズ市場に投げかけていくことで、同分野の変革を実現していきたい」(同) との意気込みを見せる。

インテル技術本部 副本部長の土岐英秋氏

Xeon 7500シリーズは、最大8コア/16スレッドのプロセッサを、最大6.4GT/sのQuickPath Interconnect(QPI)×4を用いてプロセッサ間およびチップセット間接続でき、QPIのみで8ソケット、さらにノードコントローラを介することにより最大256ソケットの構成をとることも可能。対応メモリはRegistered DDR3-1066 DIMM(QPI仕様により1066/978/800動作)で、プロセッサあたり最大16DIMMを搭載でき、「歴代のXeonの中でも最大の飛躍を達成したプロセッサ」(インテル インテル技術本部 副本部長の土岐英秋氏)という性能となっている。

サードパーティ製のノードコントローラを活用することで最大256ソケットまで対応する

また、RAS(Reliability、Availability、Serviceability)機能として、「データの保護」「可用性の向上」「計画的ダウンタイムの削減」の3つの機能にフォーカスした20以上の機能拡張を実施。中でもMachine Check Architecture(MA)リカバリはx86サーバとしては初めて搭載される機能となっている。

20種以上の機能拡張を実現

MCAリカバリにより、ミッションクリティカル分野への対応が強化された

これは、2bitエラーなどの修正不可能なハードウェアエラーによるシステムクラッシュを回避する機能で、当該エラーをOSやVMに渡し、シャットダウンをせずにエラーを回復可能であるのならば、OS側でシステムリカバリを行うことで、サーバの活動継続を図ろうというもの。「我々はハードウェアのみならず、パートナーによるソフトウェアのサポートも含めて、ミッションクリティカル分野に向けたサポート体制の確立を目指している」(土岐氏)としており、こうした機能を武器に、ミッションクリティカル分野向けエコシステムの整備を進めていき、Itaniumとはまた別の価値観をミッションクリティカル分野に提供していくことで、市場の拡大を図っていきたいとの思惑を示した。

Xeon 7500シリーズのウェハ(左)とその拡大画像(中央、右)

Xeon 7500シリーズのパッケージ外観

Xeon 7500シリーズのダイ写真

左がItanium 9300シリーズ、中央がXeon 7500シリーズ、右がXeon5600 シリーズの300mmウェハとパッケージ