Texas Instruments(TI)は、同社のビデオSoC「DaVinci」の新製品としてHDマルチチャネル・システムのキャプチャ・圧縮・表示・制御機能のすべてを1チップに集積した「TMS320DM8168」を発表した。2010年第2四半期中のサンプル出荷が予定されている。

ビデオ・セキュリティ・アプリケーションとビデオ通信アプリケーション向けに設計されており、1GHz動作版「ARM Cortex-A8」と1GHz動作版DSP「TI C674x」コアを集積。これにより、従来必要とされていた10個以上のディスクリート部品の機能を置き換えられるため、最終製品における基板面積と消費電力の削減ができ、システムの電子部品コスト(eBOM)の50%削減が可能となっている。

従来製品である1GHz動作版「DM6467T」との比較では、最大4倍のビデオ圧縮性能を達成したほか、HDビデオの前処理・後処理能力を10倍以上向上している。ビデオ解析能力と2D/3Dグラフィックス処理性能を備えた、16チャネルデジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)の機能を1チップで実現可能で、ハイブリッド・セキュリティDVRソリューションでは、16チャネルH.264ハイプロファイルD1エンコーディングとCIFマルチストリーミングおよび8チャネル、D1デコーディングの同時処理に加え、ビデオ合成およびグラフィックス・ブレンディングは最大3台の独立したディスプレイをサポートすることが可能だ。

DM8168を用いたDVRシステムのブロック図(左)とビデオコミュニケーションシステムのブロック図(右)

また、ビデオ通信アプリケーションでは、1080p 60fps 3チャネルを同時サポート、コーデック遅延1ms未満とオフチップの非効率性の排除により、グラス・トゥ・グラスの遅延を50ms未満に削減することに成功している。 さらに、4つのマルチチャネル・ビデオ・デコーダ「TI TVP5158」との直接インタフェースにより、最大16個のD1ビデオ・チャネルをシームレスにキャプチャすることが可能となる。