ソニーは2月8日、電気配線を用いることなく電子機器内部でデータを高速に伝送することが可能な「機器内高速ワイヤレス伝送技術」を開発したことを明らかにした。同技術の詳細は、米国にて2月7日より開催されている半導体の国際学会「ISSCC(The International Solid-State Circuits Conference)」において発表される予定。

同技術は、同社の高周波技術を用いて、40nm CMOSプロセスで作製させたLSI上に機器内伝送に最適化した送受信合わせて0.13mm2のミリ波伝送回路を形成。

「機器内高速ワイヤレス伝送技術」のブロック図

低消費電力である程度の距離の伝送を行うためには、受信器を送信周波数に同期させる同期検波が有効だが、同期検波に広く用いられているPLL(Phase Locked Loop)をミリ波に適用すると、回路規模が大きくなるという問題があった。同技術では、受信回路に注入同期方式を採用することで、小規模な回路で同期検波を実現し、小型・低消費電力と機器内伝送に必要十分な伝送距離を両立させることに成功した。

これにより、約1mmの小型アンテナを用いて70mWの消費電力で14mmの距離を11Gbpsの伝送速度でデータの送受信ができることを確認したという。また、伝送距離は指向性の高いアンテナを用いることで50mm程度まで伸ばすことが可能になるという。