日立製作所および日立ビークルエナジーは、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)用リチウムイオン電池を開発、2010年春より国内外の自動車メーカーにサンプル出荷を開始することを発表した。

PHEV向けに開発されたリチウムイオン電池

PHEVはモーターのみの走行モード(EV:電気自動車)とエンジンとモーターによる走行モード(HEV:ハイブリッド電気自動車)の双方の機能を持つ自動車。

今回開発されたリチウムイオン電池はモーターのみの走行約20kmを実現するために、従来開発が行われてきたHEV用リチウムイオン電池比で4~5倍高容量となる25Ahの電気容量を実現している。エネルギー密度は120Wh/kg、出力密度は2,400W/kg。セル外形は146mm×110mm×30mmで、重量は0.75kgとなっている。

新たにPHEV向けに専用のリチウムイオン電池を開発

EV走行時(高エネルギー)とHEV走行時(高出力)の性能を両立させる電極を新たに開発。高エネルギーと高出力は電池設計において相反するものだが、電極活物質の組成と電極厚みの最適化、高出力の維持のための導電性組成の適正化を実施したことで、相反する性質を実現する電極を実現した。

また、電池内部の短絡を防止し、安全性を向上させることが可能な耐熱セパレータを採用。同セパレータは、セラミックを応用、自動車用途に最適化して設計を行い、開発したものとなっている。

さらに、電池の大型化に対応するため、構造解析や振動解析など各種シミュレーション技術を活用し高強度化と集積構造の適正化を実施、信頼性の高い電池構造を実現している。