帝国データバンクは、2009年11月18日から30日にかけて、2010年の景気見通しに対する企業の意識調査を実施した。調査対象は全国2万1,638社で、1万521社から有効回答を得た。
それによれば、2010年の景気見通しは「悪化」を見込む企業が35.4%(3,724社)で、2009年の景気動向から15.7ポイント減少。「踊り場」と予想する企業は2009年とほぼ同じ34.7%(3,652社)、「回復」は2009年より6.6ポイント高い8.6%(909社)となった。
そして、規模の小さい企業ほど2010年も厳しい経済状態が続くとみているという。
業界別でみると、建設で51.8%(757社)の企業が「悪化」と回答しているが、製造や不動産、運輸・倉庫など10業界中7業界で「踊り場」が「悪化」を上回った。地域別では、東北、北海道、四国、で「悪化」が4割を超えた。
具体的には、「100年に一度の大不況は2009年で底を打った状態で、2010年は今後の回復への踊り場局面」(広告代理、岩手県)といった声のほか、「景気対策が一巡した後の二番底が心配」(建設・鉱山機械製造、東京都)や「政府のマクロ政策が見えてこない」(建設、岡山県)などの意見が多く聞かれたという。また、「消費マインドが改善するかどうかがカギ」(不動産、大阪府)など、国民の将来不安を解消し、内需を拡大することが重要になると指摘する企業も多いという。
2010年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料では、「物価下落(デフレ)」が1万521社中4,471社、構成比42.5%(3つまでの複数回答、以下同)を占め最多となったほか、「為替(円高)」が同40.0%(4,213社)と企業の4割以上がデフレや円高に懸念を抱いているほか、「雇用(悪化)」(同39.6%、4,170社)、「所得(減少)」(同36.6%、3,852社)が3割を超えていたという。
景気回復のために必要な政策では、「雇用対策」が1万521社中5,014社、構成比47.7%(複数回答、以下同)で最も多く、5割近くの企業は政策面からの雇用対策が必要と考えているという。
次いで「物価(デフレ)対策」(同34.7%、3,646社)、「所得の増加」(同33.8%、3,552社)、「(エコポイント制度やエコカー減税などの)個人消費拡大策の継続」(同33.1%、3,484社)、「公共事業費の増額」(同32.5%、3,424社)が続いており、帝国データバンクでは、企業は雇用の改善や所得の増加など生活基盤の安定化、さらにデフレ脱却が今後の景気回復には必要と考えている様子がうかがえ、暮らし向きなどに直接的な効果をもたらしうる政策支援に対する期待が大きいと分析している。