STMicroelectronicsは、小型機器向けに3Dサウンド拡張機能を内蔵した1チップ・オーディオ・サブシステムIC「TS4982」を発表した。すでに量産を開始しており、単価は大量購入時で約0.40ドルとしている。

オーディオ・サブシステムIC「TS4982」のパッケージ外観とその適用イメージ

同製品の3Dサウンド拡張回路は、狭い間隔で配置されたスピーカで、より広がりのあるステレオ空間の実現を可能にする技術。これにより、小型機器で高品質なリスニング体験をユーザに提供できるようになる。3D効果は、大中小の各ボリュームレベルに調整可能であり、製品の種類とサイズに合わせて機器設計者がステレオ拡張を最適化することが可能だ。また、ボリュームレベルは、同製品の2つの外部端子を使用して設定するため、追加の回路が不要である。

オーディオサブシステムとしては、2Wx2のステレオ・スピーカドライバ、125mWのステレオヘッドホンドライバ、4ステップのデジタル音量制御、不快なシステムノイズを削減するポップ/クリック低減回路、およびPCビープ音パススルー機能を搭載している。ヘッドホンとスピーカドライバ用には、それぞれ独立したイネーブル信号が低消費電力化を実現している。また、シャットダウンモードでの消費電流は10nAであり、不使用時にオーディオサブシステムのバッテリ寿命に与える影響を最小限に抑えることが可能。

また、強化されたサウンド機能の提供に加え、設計者がプリント基板スペースを節約する上で役立つ、ヘッドホンドライバ用のグランド基準の回路などを備えている。これにより、DCブロッキングコンデンサの追加が不要になり、全体的なシステムサイズとコストの低減を実現できるほか、ノイズ源であるDCブロッキングコンデンサを使用しないことで、オーディオ品質の向上にも貢献する。加えて、スピーカドライバは、高いオーディオ出力と高効率を両立させるブリッジ接続負荷出力(Bridge-Tied Load)を備えている。

さらに外部PCビープ入力は、起動時のセルフテストコードなどでPCが生成するサウンドを、スピーカまたはヘッドホンのドライバ回路を通して伝送することを可能にしている。これにより、PCのマルチメディアアプリケーションは、ローカルまたはオンラインのコンテンツ再生中も常にPCの状態をユーザに知らせることが可能になる。