帝国データバンクが2万1,287社を対象にした「環境問題に対する企業の意識調査」によれば(有効回答企業数は1万995社)、政府が定めた2020年までに温室効果ガスを2005年比で15%削減する目標(中期目標)は、4割弱の企業が達成困難とみているようだ。同調査は2005年6月以来5回目となる。

中期目標の達成可能性では、「達成は困難」と回答した企業は全体の37.9%に上った。「(今以上の取り組みをすることで)達成可能」は22.5%であり、「(現在の取り組みで)達成可能」(5.3%)と合わせ、達成可能と考える企業は27.8%だった。

温室効果ガス削減目標の達成可能性

業種別に見ると、達成が困難と考える企業は農・林・水産業が61.1%と最も多く、以下、運輸・倉庫業(40.8%)、建設業(40.5%)、小売業(40.2%)が続く。一方、達成可能と考える企業はサービス業が31.4%で最も多かった。

達成は困難と回答した企業に対し、達成のためにどのような対策が必要か尋ねたところ、「代替エネルギー・再生可能エネルギーの開発・普及支援」(69.6%)と「燃料電池や新型蓄電池などエネルギー貯蔵手段の開発・普及支援」(50.3%)が上位を占め、次世代エネルギーのインフラ整備に相当する対策を挙げる声が多い。この他、「中小企業への環境問題に関する技術支援・人材育成」(42.5%)など企業への啓蒙対策や、「家計部門の排出削減支援」(30.4%)のように家計部門の削減に向けた支援も重視している様子がうかがえるという。

削減目標を達成するために必要な対策

具体的には、「環境費用によるコスト高を販売価格に上乗せできる仕組み作りが必 要」、「従来型の産業構造から段階的に環境に即した産業構造に変革していく必要がある」といった環境に対応した経済に仕組みを変える必要性を指摘する声が挙がったほか、「収益が上がらない現状では設備投資もできない」「中小企業は環境問題より自社の生き残りをかけた問題が一番の関心事」といった、現在の厳しい経済状況を反映した意見も見られた。

中期目標が自社のコストにどのような影響を与えるかについては、「負担が大きい」とする企業は16.2%だった。一方、「負担は小さい」(23.0%)や「影響はない」(18.4%)がそれぞれ2割前後を占めており、温室効果ガス削減が自社のコストに与える影響については見方が分かれていると、帝国データバンクはみている。

中期目標が与える影響