業界標準の策定や情報公開でグリーンITを促進

現在ジュニパーでは、コーポレートシチズンシップ(企業市民活動)および持続可能性の戦略を立てて環境対策を行っている。

まず基本となるのが自社内のグリーン化で、必要のない電気を消灯する、ゴミをリサイクルする、サプライヤーにも一定の基準を守ってもらうといった運営に関する取り組みを実施。さらに、教育や普及活動に対する寄附などにも積極的だ。

「しかし、一番重要なのはやはり自社製品での環境対策でしょう」と語るタバコリ氏。前述した高性能ネットワークと省エネを両立する3つのポイントを自社の各製品に盛り込むことで、エネルギー効率の向上はもちろん、ユーザーが効率的に運用できる環境作りを目指しているのである。

ジュニパーが実施しているコーポレートシチズンシップ(企業市民活動)および持続可能性に関する取り組み

ジュニパーの長期的な戦略についてタバコリ氏は「消費者が適切な購入判断をするためには明確な基準が必要不可欠であるため、業界標準の策定に関する取り組みに注力していきます。また、あらゆる製品で体系的なエネルギー効率の評価を実施し、ユーザーが検証できるような情報公開も積極的に行っていく予定です」と語る。

製品に対しては、グリーンITエンジニアリングのベストプラクティスをハイエンド製品だけでなく、ミッドレンジやローレンジの製品にも採用。さらに今後5年間で、アイドル時および可変負荷時のエネルギー効率化を図る計画もあるという。

ただしタバコリ氏は「エネルギー効率化の課題を解決するには段階的な取り組みが大切であると同時に、すべての段階で業界全体の協力が必要になります」と指摘する。最適なネットワーク機器を目指す「要素」、電力や熱の利用を最大化する「ネットワーク」、環境ソリューションに総合的な影響力を及ぼす「対応策」、世界規模で持続的な成長やオペレーションにおける影響を蓄積する「グローバル視点」といったレベルを混同することなく、協力して取り組むことが重要なのである。

エネルギー効率化に必要なのは段階的な取り組みと業界全体の協力

最後にタバコリ氏は日本のユーザーに向けて「ベンダーが発する『私たちはグリーンITの取り組みを行っています』という形式的なメッセージやロゴマークだけで満足せず、明確なデータで示すように要望を出して欲しいですね。ベンダーに対して明確で検証が可能な情報公開を求めれば、必ず効果が表れるはずです」とコメントし、インタビューを締めくくった。