Texas Instruments(TI)は、長時間のバッテリ寿命が必要とされる携帯機器向けに、DSP「TMS320C5504」「TMS320C5505」を発表した。同社によれば最大で40%バッテリ寿命を延ばせるとともに、集積度を上げたことでシステムコストを20%以上削減できる、としている。
2製品はともに、最大で320KBのオンチップメモリと多数の周辺回路を集積している。スタンバイパワーは340μW未満、アクティブパワーは0.3mW/MHz未満に抑えられており、従来製品を利用した場合よりもバッテリ寿命を40%以上伸ばせるとしている。
TMS320VC5504はUSB 2.0とI2S、UART、SPI、MMC/SDとGPIOを搭載する。また最大256KBのオンチップメモリを搭載するため、外部にメモリを用意する必要が無い。TMS320VC5505はこれに加え、64KBの追加メモリ(最大320KB)を搭載するほか、1,024点のFFTハードウェアアクセラレータ、LCDコントローラ、さらに10bit/4chのSAR A/Dコンバータを搭載する。
また、TMS320VC5505は100MHzで駆動し、例えばノイズキャンセリングヘッドフォンとか医療用モニタリングシステム、各種センシングシステムなど向けに最適であるとしている。ただしエンドユーザー向けの、例えばボイスレコーダやMP3プレイヤーといった製品には、大容量のオンチップメモリやFFTのハードウェアアクセラレータ、ディスプレイコントローラなどは必要ない場合が多い。こうした用途に向けた低価格製品がTMS320VC5504となる。TMS320VC5504とTMS320VC5505はピンコンパチブルであり、同等の省電力性を確保している。
さらに開発を容易にするため、TIは「C5505 DSP EVM(EValuation Module)」を同時に提供する。C5505 DSP EVMはC5504とTMS320VC5505の両方で利用可能である。
なお、TMS320VC5504、TMS320VC5505、ともにすでにサンプル出荷を開始しており、1,000個あたりの価格はTMS320VC5504が5.60ドル、TMS320VC5505は6.75ドルとなっている。C5505 DSP EVMも出荷を開始しており、こちらは395.00ドルとなっている。C5505 DSP EVMにはCode Composer Studio IDE Rev. 3.3が付属する。