マイクロソフトは5月26日、「the Microsoft Solution Conference 2009 -コストを抑えて、企業力を強化する-」を開催、次世代OS「Windows7」等のテクノロジを交えたコスト削減に役立つソリューションの紹介を行った。

新規投資によるコスト削減が必要

マイクロソフト 執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏

80年代後半までは世界一生産性が高い国だと言われた日本は、現在ホワイトカラーの生産性は欧米と比較して70%程度だと言われている。これはITの活用状況の差が原因だという。ステージ1であるシステム導入は十分進み、ステージ2にあたる部門内最適も進んでいるが、ステージ3の企業内最適、ステージ4の企業間最適で出遅れている。 佐分利氏は、この一因はITコストの削減と予算に占めるメンテナンス費用の大きさだと指摘した。金融危機以前と比較してITコストは削減されており、特に日本は欧米と比較して積極的なコスト削減が行われている。少なくなった予算の大部分はメンテナンスに使われ、新規投資コストは非常に少なくなっているのが現状だ。

日本のIT活用の現状

ITコストの現状

これに対して佐分利氏は「不況を過ぎ去るのを待っているだけでなく、この環境だからこそIT投資をより深く考え、調整してゆく必要があるだろう。これが筋肉質な状況をうまく生き抜くための重要な要素だと考えている。予算が減るのは仕方ないが、メンテナンスだけに100%使い続けて良いのか。解決のアプローチは、システム維持費用の削減と、新規投資を拡充することでITを通じてコスト削減を行うという2つの方法がある」と語る。

「ITのコスト削減」「ITでコスト削減」という2つのコスト削減のアプローチ

CIOの期待はやはり仮想化

ITシステム維持費用の削減方法としては、IT管理・運用コストの削減とともに、電力コストの削減、ソフト利用コストの削減が挙げられた。これらを実現するのが、仮想化だ。

「CIOに対して行ったアンケートで、実行して効果のあったもの、今後効果を期待するものの双方で仮想化がトップになった。現在使われているサーバの多くはCPUパワーのごく一部しか利用できておらず、仮想化によってハードウェア集約をすることでサーバコスト、電力コスト等を大きく減らすことができる」と仮想化のメリットを佐分利氏は語った。

また、マイクロソフトの仮想化へのアプローチとして、包括的な取り組みを行っていることもアピールしている。「仮想化というとサーバが意識されることが多いが、マイクロソフトでは多彩なソリューションを用意している。デスクトップでの仮想化やアプリケーションのみを仮想化することもできる。そして、それを一元的に管理するソフトウェアも提供している」

仮想化はサーバだけなく、アプリケーションやデスクトップの仮想化もあると説明

アプリケーションの仮想化を利用すれば、Windows 7上でIE6を動作させるなど、OSとの互換性がないアプリも動作させることが可能というデモ