大量サーバの効率的な統合 - オフィスには置かないで(笑)

クアッドコアAMD Opteron プロセッサを搭載した「PowerEdge M905」

ブレードサーバに対する注目度が高まるにつれ、オフィス環境での利用を想定した問い合わせも増えている。しかし同社では、「当社の製品はあくまでデータセンターでの利用を前提とした専用設計になっおり、オフィスでの設置は想定していません」とのこと。あくまで「高集積」という、ブレードサーバに求められる本来の目的を追求している。

日本国内では100V電源へのニーズも存在するが、「100Vの環境では200Vに比べて電流が2倍となるため、ブレードの搭載枚数や電源の冗長構成などに制限が出てきてしまいます。当社では、可用性と高集積を重視しているので、100V電源への対応を行う予定はありません」と、回答は明快だ。

サポート - 統合にはある程度標準化が必要

ブレードサーバに対するユーザーの不安要素の1つとしてベンダーロックインがある。これに対する同社の回答は「(統合する)サーバの数が大量になれば、ある程度の標準化は必要」だという。さらに、「ブレードサーバは、各社によって、機能や運用管理方法がまちまちです。物理的にはもちろんのこと、運用面を考えても、複数のメーカーを混在させることはできません。設置環境や解決したい課題に合った製品はどれなのかを十分検討することが必要です」と指摘する。

また、サーバ増設についても「年間に数台という増設サイクルであれば、ラックマウントサーバで十分だと思います。ブレードサーバはあくまで高集積が目的ですので、導入の際はしっかりとキャパシティプランニングを実施すべきです」とのこと。この点に関して同社は、ファシリテーションも含めた導入時のコンサルティングにも力を入れている。

シャーシの互換性も気になるところだが、「現在提供しているシャーシは今後5年間のサポートを保証しています。つまり、今後5年以内に発売されるブレードは、同じシャーシに挿すことができるというわけです」

デルの"売り"は何か? - 省電力性と効率的なメンテナンス

高集積の環境で懸念されるのが消費電力だが、同社はこの点についても特に力を入れて改善しているそうだ。「電源モジュールやファンなど、細かいパーツレベルでの改良により、AC/DCの変換効率は最大91%を実現しています。また、シャーシのエアフローも改善しています。その結果、第三者機関のベンチマークでは、他社と比べ12~19%省電力であるという結果が出ています」

また同社では、ブレード障害時における予備ブレードでのメンテナンス方法を大幅に効率化しているという。

「フレックスアドレス機能(特許申請中)を用いれば、安価なSDカード(税込5万2千円)を使うだけで予備ブレードでの障害対応が実現できます。あらかじめシャーシのスロットにMACアドレスやポートネーム(WWPN)を固定で割り当てることができるため、予備ブレード交換時にネットワークやスイッチ側の保守作業が不要になるのです。一般的に他社は高価な専用スイッチを用いて実現しますが、当社では専用スイッチを必要としないため、この機能を安価に実装できるわけです」という。実際に米国のある金融機関では、この機能が決め手となって同社のブレードサーバの導入を決めたケースもあるそうだ。

また、ラックマウントサーバのユーザーにとってブレードサーバは「使ってみないと運用イメージがわからない」という点が多いことが導入時のハードルの1つとして存在する。これについて同社は、ワークショップや実機でのデモンストレーションを提供することで、導入前の懸念事項を解決する場を設けている。また、環境さえ整っていれば実機の貸し出しも行うなど、「事前の検証体制は十分整っています」としている。

「仮想化」について

-基本的にはブレードサーバが必須ではありません

-回答者-
デル株式会社 エンタープライズ・マーケティング本部 ブランド マネージャー
布谷恒和氏
仮想化のプラットフォームとして求められる要件は、「十分なキャパシティを持っているサーバを最小限の台数で、多数の仮想マシンを安定稼働させる」という“統合率”がポイントとなる。「社内で利用している仮想化サーバもラックマウントサーバですし、当社が導入をサポートした国内の大規模事例でも、現時点ではラックマウントサーバが多いです」という。仮想化に関してブレードにはこだわっていないようだが、同社の答えは「どちらでもOK(顧客の要件次第)です」とのことだ。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。