Active DirectoryにRecycle Binが加わる

ファイルやフォルダの削除については、Windows 95から「ゴミ箱」機能が加わったことで復旧が可能になったが、Active Directoryのオブジェクト削除については、同様の機能が存在しなかった。そのため、削除したオブジェクトを復帰させるには、ドメインコントローラのディスク内容について、事前にバックアップしておいたデータから書き戻す操作が必要だった。

R2で初めて手が入れられたのがこの部分で、Recycle Bin、つまりゴミ箱機能が利用可能になった。これにより、NTドメイン、Active Directoryの両方を通じて初めて、削除したオブジェクトの復活が可能になっている。ただし、この機能を利用する際には、以下の注意点がある。

・Active Directoryの機能レベルを、Windows Server 2008 R2レベルに設定する必要がある
・既定値では無効になっており、Active Directory管理用のPowerShell(Active Directory PowerShell)で、Enable-ADOptionalFeatureコマンドレットを実行して有効化する必要がある

Active Directory管理用スナップインを組み込んだPowerShellとは、本稿の前編で取り上げた、「Active Directory Module for Windows PowerShell」のことだ。ここで所要のコマンドレットを実行することで、ゴミ箱機能の有効化やゴミ箱の参照、ゴミ箱からの復元が可能になる。

ゴミ箱の参照には、Get-ADObjectコマンドレットを使用する。その中から復活させたいオブジェクトを調べて、Restore-RDObjectコマンドレットで復元対象を指示することで、削除したオブジェクトの復活が可能になる仕組みだ。

コマンド操作を必要とすることと、Active Directoryの機能レベルが限定されていることから、この機能を利用する際にはいくらかハードルが高くなる問題がある。だが、条件付きとはいえ、削除したオブジェクトの復活が可能になるのはありがたい。

Hyper-Vのバージョンアップ

仮想化機能のHyper-Vは、Hyper-V 2.0にバージョンアップする。Hyper-V 1.0でサポートするプロセッサのコア数は16まで(修正プログラム適用で24に増える)だが、Hyper-Vではコア数の上限が32に増える。デュアルコアのプロセッサなら16個、クアッドコアのプロセッサなら8個が上限となる。

ただし、仮想マシンひとつに割り当てられる論理プロセッサの数は4個のままだ。これが何を意味するかというと、コア数を増やすことで、同時に動作させることができる仮想マシンを増やせるということだ。提供できる仮想プロセッサの数はプロセッサコア数の8倍までなので、上限いっぱいの32コアなら、仮想プロセッサの数は32×8=256個となる。

Hyper-V 2.0の仮想マシンは、当初から統合サービスを組み込んだ状態になる

ネットワークの設定変更と診断ツール

サーバでは固定IPアドレスを設定する場合が多いが、うっかりして、すでに使用しているIPアドレスを二重設定する等の事故が発生する可能性がある。

R2では、TCP/IPのプロパティ画面に[Validate settings upon exit]というチェックボックスが加わっており、これをオンにすると、設定変更を行った際に自動的に、診断ツールを動作させるようになっている。TCP/IP設定のミスに起因するトラブルを回避するために、役立つかもしれない。

R2のTCP/IP設定画面では、設定変更時に診断ツールを自動実行する指定が可能になっている([Validate settings upon exit]チェックボックス)