NECは、最近のITコスト削減に対する企業ニーズから需要が拡大しつつあるSaaSなどのサービス事業に対応するため、2012年度までに中核要員2000名を含む1万人をサービス事業要員として配置すると発表した。

サービス要員の強化

そして、サービス事業を強化するため提供サービスメニューの拡張やデータセンターの拡充を図り、他社があまり手がけていない、基幹システムのサービス化に取り組んでいくという。

NEC 執行役員常務 藤吉幸博氏

NEC 執行役員常務 藤吉幸博氏は「現在のような経済不況下では、無駄を省き、効率化を追求した筋肉質の経営と、迅速かつ柔軟な変化に対応した新事業の早期立ち上げが求められている。また、企業には内部統制への対応や国際会計基準の導入という課題もある。これらに対応するため、クラウドの特徴であるユーティリティ課金、仮想化、マルチテナントを活かして、TCOの削減やスピードアップ、柔軟性の向上を実現したい」と述べ、従来の自社運用に対するSI中心から、基幹システムの新しい形である「持たざるIT」を実現するサービス提供型への転換を推進していく考えを明らかにした。

NECでは、3月2日、グループ会社を含めた自社システムをクラウド型へ転換し、20%のコスト削減を行う旨の発表を行った。この中では、システムのサービス化とともに、業務プロセスの標準化やシンプル化を図っていく。

今回発表されたサービス事業の強化では、過去のSIでの実績に加え、社内システムのクラウド化で得たノウハウを、顧客向けのコンサルティングやシステム構築に活かしていくという。

提供サービスの拡張では、公共向けの「自治体基幹業務サービス」、メディア向けの「デジタルサイネージサービス」など15の新規サービスを7月から販売開始する。

新たに追加されるサービス

サービスの提供モデルとしては、中小規模向けのSaaS型、同業種複数のユーザーが共同センタ上の業務APを利用する中大規模向けの「共同センタ型」、企業ごとにリソースを用意する大規模向けの「個別対応型」の3つが用意される。

3つの提供モデル

各モデルの特徴

サービス提供の基盤となるデータセンターは、既存の53のデータセンターの拡充を中心に行い、新規については、パートナー連携による獲得を行っていくという。

データセンターの強化

サービス要員1万人は、4月1日付で設立した「ITサービスビジネスユニット」を中核とし、ユーザーへの営業窓口を1本化し、実際のサービスを提供する部隊として、業種別に6事業部用意するほか、コンサルティング、業種別SE、Aシステムモデルベース、運用の各部隊が組織される。

サービス提供体制

そして、中期の目標として年間1000億円を掲げ、事業を行っていくという。