日本アドバンストアグリ 代表取締役 辻昭久氏

3月30日、技術情報協会が東京都内で、「植物工場における最新の現状と植物育成光源開発 - 低コスト化への課題」というテーマのセミナーを開催した。同セミナーでは、日本アドバンストアグリの代表取締役である辻昭久氏が、実体験を基に、植物工場の課題・技術・展望について講演を行ったので、ポイントを紹介しよう。

辻氏は、植物工場をビジネスという観点から見た場合、「野菜の高騰と安値の隙間を埋めるもの」と説明した。野菜の成長と植物工場の運営の双方において重要なのが照明である。店頭で販売される野菜には重量と見栄えのバランスが求められるが、植物工場で見栄えのよい野菜を生産するには照明がキモとなる。また、植物工場をビジネスとして軌道に乗せるためには、照明や空調に要するコストを抑える必要があるのだ。

現在、植物工場では、LEDと蛍光灯が主に照明として用いられている。ただし、「いずれも植物工場での利用に際して何らかの問題点を抱えている」と、辻氏は指摘する。LEDはとにかく価格が高く、大量に利用するにはハードルが高い。また、蛍光灯は廃熱が多く、寿命が短いという課題を抱えている。

同社は、このような蛍光灯とLEDの課題を解決すべく、HEFL(ハイブリッド電極蛍光ランプ:Hybrid Electrode Fluorescent Lamp)という照明を新たに開発した。HEFLは大型液晶テレビに用いられているバックライトを改良したもので、CCFL(冷陰極蛍光灯)とEEFL(外部電極蛍光灯)から構成される。蛍光灯やLEDに比べ、「表面温度が低い」「廃熱が少ない」「寿命が長い」という。

CCFLとEEFLから構成されるHEFL

蛍光灯、LED、HEFLの違い