ビジネスオンライン代表取締役 藤井博之氏

安田氏の基調講演のあと、J-SaaSの普及のカギと課題について、ITコーディネータ木村玲美氏の司会で意見交換が行われた。

参加したのは、経産省の安田氏に加え、J-SaaSにアプリ提供するベンダーの立場から、ビジネスオンライン 代表取締役 藤井氏、OBCのICTセンター課長の安田氏、ネオジャパン 取締役の狩野氏が、ユーザーの立場として税理士で東京税理士会情報システム委員会委員を務める菅沼氏が参加した。

ネオジャパン 取締役 経営企画室長 狩野英樹氏

参加者から多く意見が寄せられたのは、J-SaaSの画面操作性の改善と、認知度の向上について。

操作性については「なかかなサービスの画面までたどり付かない」(藤井氏)、「現在のものはECサイトになっている。Yahoo!やiGoogleのような機能サイトにすべき」(狩野氏)、「やりとりが面倒」(菅沼氏)など、セキュリティを重視するあまり、操作性が犠牲になっている点について改善要望が寄せられた。藤井氏からは「USBキーを挿すだけで使えるようになれば」という案も出された。

オービックビジネスコンサルタント ICTセンター課長 安田徹氏

認知度を向上させる広報については、利用者を増やしていくためにはもっとPRする必要があるという意見で、「成功事例を作ってほしい」(OBC安田氏)という具体的な要望あった。また、「自社で無償のセミナーをやっているが、地味だが結構効果がある」(菅沼氏)という意見もあった。

サポート体制の充実を訴える意見も多く、「サポート要員は現在の600名では足りない。サポート要員へインセンティブも必要」(藤井氏)、「指導員の組織化が必要」(OBC安田氏)などの意見があった。

税理士 東京税理士会情報システム委員会委員 菅沼俊広氏

そのほかでは、「CRM、グループウェア、Web会議などコミュニケーション機能のサービスを増やすべき」(狩野氏)、「このサービスの全体の方向性を示すべき」(OBC安田氏)、「国のサポートは今年度までの予定だが、来年度以降もサポートしてほしい」(藤井氏)、「利用した場合のはっきりとしたメリットがほしい」(菅沼氏)という意見が寄せられた。

また、利用者の代表という立場で菅沼氏は「既存のパッケージとの機能差をはっきり示してほしい。利用料は月々数千円でも、計算すると結構な金額になる」と述べ、利用料の値下げなど、ベンダーに対する要望を述べた。