NPO法人・GEWEL 代表理事 堀井紀壬子氏

続いて、NPO法人「GEWEL」の代表理事を務める堀井紀壬子氏が、「ビジネスパーソンの働く意識調査 2008」の調査結果について説明した。同法人は「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進を目的とし、その最優先課題は、女性が企業内でより責任あるポジションにつくことを考え、意欲ある女性たちが活躍するための環境作りを支援している。

今回の調査の対象者はダイバーシティ推進活動を2年以上行っている企業28社の社員(男女)と同法人のWebサイトからの参加者で、有効回答数は10,357。

アクセンチュアの調査結果は、全体の調査結果に対して、「仕事や職場への満足度、働く意欲と志が高い」、「男女が平等であると感じている社員が多い」ことがわかった。例えば、「現在の会社・組織で働く目的」を問う質問において、女性全体では「興味ある/好きな会社・組織だから」という回答が16%、「やりたい仕事ができるから」という回答が10%だったのに対し、同社では前者の回答が22%、後者の回答が19%と、仕事に対して"自分志向"という結果が出ている。

一方堀井氏は、同社では「性別に関係なく、互いをプロとして認め合う風土がある」と「年齢に関係なく意見を出し合える風土がある」と考える人が8割を超えているのに対し、「自分に自信があるか」「自分が職場で認められていると感じるか」という問いにおける男女差は全体平均並という結果が出ていると指摘した。

この調査結果について、同氏は「世界的に女性はネゴシエイションが男性よりも下手だ」という事実があるとしたうえで、「企業において男性と女性の育てられ方が異なり、それが積み重なって、女性は自信が持てなくなるのではないか」との仮定を示した。ただし、アクセンチュアは男女平等の教育を受けているため、この仮定は当てはまらず、深夜に及ぶ激務に対する体力の不安もあるのかもしれないと補足した。

発表会の参加者でこのテーマについてディスカッションしたところ、「女性は優秀だけど謙虚な人が多い」、「男性は女性よりも自信家の人が多いのでは?」、「男性のほうが役職者についている人が多いから自信がある人が多いのも仕方ないのでは?」など、さまざまな意見が飛び出した。本井氏は、「男性は苦手分野を人に振って自分の得意分野を伸ばすのが上手だけど、女性は人に仕事を振るのが抱え込みやすいことも関係あるかもしれない」と語った。

また、「認められていると感じる女性が少ない」という点については、「"認められている"と感じる基準が、男女で異なるのではないか」という疑問が投げかけられた。本井氏は、「女性はプロセスを大切にするため、仕事の過程ごとに評価をされると喜ぶ傾向がある。一方、男性は昇給や昇格など、仕事に対する評価がよかった時に認められたと感じているようだ」と述べた。同氏自身、部下の仕事をついプロセスごとにチェックしがちで、男性の部下から"信頼されていないように感じる"と訴えられたこともあるという。

本井氏は、「会社でできることには限度がある。ひとりひとりが自分の意識改革を行うことが必要。女性がもっと自信が持てるような支援を模索していきたい」と、今後の抱負を語って締めくくった。