LinuxがNios IIをサポート

AlteraとWind Riverは3月3日、AlteraのFPGAソフトコアプロセッサ「Nios II」に対し、Wind Riverの提供する組み込みLinux「Wind River Linux」がサポートを開始することを発表した。現在、アーリーアダプタ的なカスタマ向けにソリューションの提供が開始されており、4月から一般向けの提供を開始する予定。

Alteraの提供するNios IIは2001年に提供を開始した前世代の16ビットソフトコアプロセッサ「Nios」のアーキテクチャを見直し、FPGAに搭載されるロジックへの最適化、省フットプリント化、ならびに32ビット化を図り2004年より提供を開始したもの。Niosではコアは1種類のみであったが、Nios IIではコンパクトタイプ、スタンダードタイプ、ハイスピードタイプの3種類のコアが用意されるなど、用途に応じて、より細かい対応が可能になっている。

Nios IIプロセッサの概要と現在までのロードマップ

日本アルテラのマーケティング部 ディレクタである堀内伸郎氏

LinuxがNios IIに対応することについて、Alteraの日本法人である日本アルテラのマーケティング部 ディレクタの堀内伸郎氏は「組み込み市場の調査では、どのOSを使いたいかを聞いたところ、日本ではITRONの比率が高いが、その次に来るのがLinuxであり、すでに家電や携帯電話にも用いられてきている。AlteraでもLinuxのサポートについては、以前から検討してきており、今回Wind Riverとのパートナーシップという形でようやくサポートすることができるようになった」と語る。

実際に、「Niosは、発売当初から単なるアセンブリだけではなくOSへの対応を意識してきた製品」(同)であるという。それというのも、組み込み市場においては、「マイコンがどのようなOS、ミドルウェアを使っているかを考えたとき、それと同じOSやミドルウェアをFPGAでサポートできているか否かが、ASIC代替を狙う上で重要」(同)となるためである。

そのため、同社では今回のパートナーシップに先立ち、3年程前からNios IIの周辺環境の整備を進めており、現在は3つの成果を打ち出している。1つ目は「C2Hコンパイラの追加」である。これは、ソフトウェアにおいて、サブルーチンとして繰り返し処理が大量に存在する場合に、そこをハードウェア化することで処理の高速化を図るというもの。

2つ目は、航空電子機器システム向け基準「DO-254」の認証を受けたこと。航空/宇宙関連の認証は製品品質の高さと信頼性という面で、安全性の高さを保証するものとなる。

3つ目はSynopsysを通してNios IIのASIC化サポートを開始したこと。元々、AlteraにはFPGAをASIC化する「HardCopy ASIC」サービスが存在しているが、「HardCopy ASICを使ってもらいたい気持ちは山々だが、適用するアプリケーションによっては、同サービスでも対応が難しい高集積化や大量生産が求められる場合がある。そうした場合、ユーザーはASIC化したいと思っても方法がなく、ジレンマとなっていた。SynopsysによるASICサービスの提供により、ユーザーの選択肢が増え、そうしたジレンマが解消されるようになった」(同)という。

また、このほか、2008年にはMPU(Memory Protection Unit)とMMU(Memory Management Unit)を正式にサポートしており、Linux系OSとの組み合わせに向けた下準備が進められてきていた。