NECは2月17日、カーボンナノチューブ(CNT)トランジスタのすべての構成要素を印刷法で形成することが可能となる技術を開発し、同技術を用いてプラスチック基板上にCNTトランジスタを作製、基本動作を確認したことを発表した。

すべての構成を印刷で形成したCNTトランジスタ

これまで、トランジスタを構成する電極や絶縁膜、CNTチャネルなどを印刷で形成するためには、トランジスタ特有の多層構造を形成するための各層間の侵食耐性や印刷描画特性などを確保する必要があった。今回、絶縁用および金属用インクの組成・溶媒・濃度・処理条件を最適化することで、こうした課題を解決することに成功した。

また、CNTインクにおいて、CNTの分散性と低温での揮発性を両立する材料と調合方法を開発。これにより、デバイス製造において200℃という処理温度を実現可能となり、高温での形成が難しいプラスチック基板の使用が可能となった。

印刷法によるトランジスタの製造工程

試作したトランジスタはp型の導電性を有し、オンオフ比は約1,000であった。このトランジスタの動作が確認されたことにより、CNTトランジスタを全印刷プロセスで製造できる見通しが立ったこととなる。

CNTが印刷エレクトロニクス分野でも使用可能ということが明らかにされたことにより、印刷エレクトロニクスの応用分野が広がる可能性が出てきたことにより、同社では、CNTトランジスタ技術を、今後はより環境負荷の低い電子機器を生み出すためのキーテクノロジーとして位置づけ、環境に優しい製品を生み出すべく、継続して研究を進めていくとしている。