NECとNECエレクトロニクスは2月12日、32Mビットの高速MRAMを開発、動作実証に成功したことを明らかにした。

開発された32MビットMRAM

従来、高速動作のMRAMは、通常のMRAMに比べセルサイズが大きくなってしまい、大容量化の課題となっていた。今回開発した32MビットのMRAMでは、メモリセルの占有率を向上させるために、メモリマクロにおける周辺回路の面積を削減する書き込み回路を開発、マクロ面積の73%の領域をメモリセルに割り当てることに成功した。

なお、同メモリマクロでは、ワード線デコーダ回路内にメモリセルの面積の縮小に有効なワードブースト回路を内蔵している。一般的なワードブースト回路は遅延が大きく、その分サイクル時間を大きくする問題があるが、今回、新たに開発した回路を採用、書き込み電圧レベル変換の最適化により、遅延を最小化することで、9nsのサイクル時間での動作を実現した。

同MRAMは、システム内でのチップ動作実証のため、制御信号変換回路を設けて、非同期汎用SRAMとの互換性を実現している。また、制御信号変換回路の構成を変更することにより、将来的にはあらゆるメモリを置き換えることが可能になるとしている。

なお、2社は、今回の実証実験の成功で、高速MRAMセルでも大容量化が可能になる道筋を示したとしており、システムLSI上のメモリをMRAMに置き換えた際の応用範囲を広げられることを証明したとしている。今後、NECではこうしたMRAMをシステムの中に組み込んだ形での動作検証を行うことを目指し、設計・試作を行っていくという。