オリンピック商戦では台数ベースで、前年同月比35.5%増と大きな成長を遂げていた薄型テレビは、秋口以降、台数ベースでの成長が鈍化、金額では12月実績で前年割れとなったことを受けて、「サブプライムローンやリーマン・ブラザーズの破綻による景気後退の影響は少ないと見ていたが、年末商戦の動向を見る限り、その影響が出ていると捉えざるを得ない」との見解を示した。

また薄型テレビの12月の平均単価は11万4700円となり、前年12月の13万6200円から大幅に下落している。

薄型テレビ全体の販売台数・金額の伸び率(前年同期比)と平均単価(出典:BCN)

薄型テレビのうち、台数構成比で91.6%を占める液晶テレビは市場の牽引役だが、12月実績は台数で18.5%増、金額は0.6%増となり、「金額ベースでは前年レベルの維持がやっとという状況」(道越アナリスト)となった。平均単価は10万9700円となり、前年12月の12万9200円から1万9500円も下落している。

一方、プラズマテレビは、2008年9月に初めて台数ベースで前年割れとなったのに続き、12月も前年割れの8.7%減となり、金額ベースで21.0%減と大幅に減少。台数、金額ともに商戦期に前年割れとなった。金額ベースでの大幅な落ち込みは、単価下落が大きく影響していると同社では分析する。

「薄型テレビの平均単価は12月に持ち直すのが例年だが、2008年は逆に単価が落ちている。落とさないと在庫がさばけないという状況に陥っている」としている。価格下落の要因として、売れ筋が安価な型落ちモデルに集中したことが見逃せない。

12月の販売傾向を見ると、2007年には、7月以前に発売された型落ちモデルの構成比は57.9%だったが、2008年には75.0%にまで増加している。一方で、平均単価に関しては、型落ちモデルは、2007年の10万2100円から、2008年の10万2800円と大きな差がないが、新モデルは2007年の16万4800円から、2008年の12万8400円に大きく下落している。

インチ別では、夏以降、大画面テレビの伸び率が鈍化しており、8月には80%以上の成長率を見せていた40-50インチ未満の薄型テレビは、12月には20.8%にまで成長率が鈍化した。また、金額ベースの伸び率でも、40-50インチ未満で、1.8%増とかろうじて前年実績を上回ったが、ボリュームゾーンとなる30-40インチ未満では5.8%減と前年割れになった。

インチ別構成比は、40-50インチ未満が台数ベースで19.7%と、2割突破を目前に相変わらず足踏み状態が続いている。また、30-40インチ未満は47.7%、30インチ未満は30.3%、50インチ以上は2.3%となっている。

なお、録画機能を搭載した薄型テレビは、12月実績で、台数ベースで10.7%、金額ベースで15.9%を占めた。また、平均単価も16万9000円と市場全体に比べて5万円ほど高く、「価格下落のなかで、付加価値といえる強力な商品。今後、各社が力を注ぐのではないか」と予測した。

メーカー別シェアでは薄型テレビ全体でシャープが43.8%と圧倒的なトップシェア。液晶テレビでは47.7%と、2位以下を大きく引き離している。ソニーは薄型テレビ全体で18.8%、液晶テレビでは20.5%と2位。パナソニックは薄型テレビ全体で15.7%の3位、液晶テレビで10.5%となり4位、プラズマテレビでは73.5%と圧倒的なシェアとなった。

キャラクターに福山雅治さんを採用し、福山効果により一気にシェア拡大に乗り出した東芝は、薄型テレビ全体で12.4%。液晶テレビでは13.5%となり、パソナニックを抜いて3位となった。

薄型テレビ売れ筋トップ20(左が2007で右が2008)(出典:BCN)