BCNは、全国25社、2135店舗の大手家電量販店のPOSデータを集計したBCNランキングをもとに、年末商戦の動向について発表した。

田中繁廣 取締役常務執行役員

田中繁廣取締役常務執行役員は、「2008年秋口以降、生産がマイナスとなり、市場には在庫が残っている状況。年末商戦を境に、デジタル家電市場の局面が大きく変わっている」として、景気後退の影響が、薄型テレビをはじめとするデジタル製品や、パソコンなどの売れ行きに及んでいることを示した。

同社の調べによると、調査対象となっている全116アイテムの販売金額の推移を示すBCN指数では、2008年12月は、前年同月比6.8%減となり、販売単価も11月に比べてわずか3000円上昇の9万6000円となった。

道越一郎アナリスト

「BCN指数は過去3年に渡って調査しているが、12月は例年前年を上回る結果となっていた。前年割れとなったのは調査開始以来初めてのこと。また、12月は新製品効果もあり、単価が上昇する傾向にあったが、単価上昇はわずかに留まっている」(道越一郎アナリスト)という。

「BCN指数」でみる全116の主要アイテムの販売動向(左が2007で右が2008)(出典:BCN)

主要ジャンルでの単価下落が大きく、台数の伸びとは裏腹に金額ベースでの市場成長が見られないという状況に陥っている。

12月の集計を見ると、薄型テレビは台数が15.6%増に対して、金額は2.7%減。レコーダーは台数が10.9%増に対して、金額は2.4%増。デジタルカメラは、台数が6.8%減に対して、金額が18.2%減。パソコンは、台数の23.4%増に対して、金額は8.4%減といずれも金額ベースでの落ち込みが大きくなっている。

薄型テレビ、レコーダー、デジタルカメラ、パソコンの台数と金額の伸び率(出典:BCN)

とくに薄型テレビは、2008年10月の集計で、金額ベースでは2007年5月以来の前年割れとなったが、商戦期である12月に再度前年割れとなったことで、「単価の下落が大きいことを示している」(道越アナリスト)とした。

なお、2008年通年における主要商品の金額成長率と、価格下落率は以下の通りとなった。

成長率 価格下落率
薄型テレビ 8.3%増 -12.1%
レコーダー 20.3%増 +11.3%
デジカメ 7.5%減 -8.4%
パソコン 6.1%減 -15.6%