2009年1月から、Second Life(セカンドライフ)の土地の価格が大きく変わります。セカンドライフの土地には、運営会社のリンデンラボが直轄する「メインランド」と、リンデンラボから"島単位で土地を買った"個人や会社などが運営している「アイランド」があります。このアイランドの中の、ある種類のシムの価格が上昇するのです。

75ドルから125ドルへ……その裏事情とは

アイランドは256×256平方メートルのシム単位で購入でき、自由度の高い使い方ができる点が特徴です。シムを自分の店や家などに使うばかりでなく、小さく区分けして住宅用や商店用に販売することもOK。日本の土地デベロッパーさんたちも、日本語環境の充実した観光地や商業地や住宅地を造っています。シムは、見方を変えるとレンタルサーバです。つまり、サーバのレンタル料金が値上がりする、というわけですが、世界的不況のまっただ中、月の使用料75ドルから125ドルへ変更というリンデンラボのアナウンスは大きな反響を呼びました(詳細はこちら)。

75ドルから125ドルへの急騰は、それなりの背景があったようです。

価格の上がるシムは、オープンスペースとか環境シムと言われているものです。環境シムは、2008年春に75ドルで購入できるようになったばかりの新しいタイプのシムでした。普通のシムは、初期設置費用が1,000ドルに月間使用料が295ドルですが、環境シムは初期設置費用が250ドルで月間使用料75ドル。約1/4の価格です。

なにゆえ、このようにお得な価格だったのかというと、それには理由があります。環境シムというのは、そもそもの目的がアイランド周辺の風景用、つまり、人やビルの建っていない海や草原として提供された土地だったのです。アイランドを購入した人のみ購入可能で、CPUの割り当ては一般のアイランドの1/4です。一般のアイランドがひとつのCPU(サーバ)を丸々独占できるとしたら、環境シムは4シムをひとつのCPU(サーバ)でまかなっていることになります(実際の割り当てはもっと複雑で、だんだん向上しています)。

リンデンラボとしては「そういうシロモノなので、ライトユースでお願いします」といったことを説明して環境シムを売り出したのですが……幸か不幸か、一般のシムと同じように使えてしまいました。普通のシムと同じ広さで、普通のシムと同じ建物が建てられ、セカンドライフ内の検索に広告も出せて、たくさんのお客さんが入場可能で、しかもお値段4分の1、なのです。CPUの割り当てがどうこうといった面倒なことにこだわらない人や、見なかったことにした人が、環境シムをどんどん購入して、新たなシムが増えていきました。

ただ、どんな問題が起きるかは想像に難くありませんよね。普通のシムでさえタイムラグやクラッシュに泣かされる世界です。たまたまひとつのCPUに割り当てられた4つの環境シムが、繁盛する街だったとしたら、大きなライムラグや頻繁なクラッシュなどが、ますます起きてしまうでしょう。混雑する3つのシムと、ヨットレース用の海だけのシムが同じCPUに割り当てられたりしたら、ヨットレース用に購入した人は、お気の毒です。また、つながった世界ですから、1シムの問題が広くシステム全体に影響を及ぼすこともあるかもしれません。普通のアイランドを購入した古参ユーザーさんの不満もあおりそうです。