--Robotics Studioのこれまでのダウンロード数は

20万以上のダウンロードがあった。すでに60社以上のソフトウェア/ハードウェア企業が、このプラットフォームをサポートしている

--どういったユーザーが利用しているのか

幅広い層が利用している。ロボットプログラミングを始めたばかりの学生もいれば、研究者もいる。商業的なベンダも利用している。Robotics Studioの目的の1つは、ロボティクス技術の使い勝手を向上させて、アクセスしやすいものにすることだ。そのようにコミュニティからMicrosoftに要請があった

--現在の市場はまだビジネスが成り立つ規模とは思えないが、将来性があると見ているのか

まず動機としては、新しくできたコミュニティをサポートすることがある。確かに今の市場規模は小さいが、Microsoftはパーソナルなロボット市場が3~5年くらいで勃興する可能性があると見ている

現在のロボット市場は、70年代のPC市場に似ている。70年代、PC市場はメインフレームが中心で、パーソナルなものではなかった。特別なスキルを持ったオペレータが必要だった。現在の産業ロボットがこれと同じだ。今後PCと同じように、どんどんパーソナルなロボットが出てくるだろう

--日本では格闘技大会やサッカー大会などが開かれているが、マニア中心で一般にはなかなか広がらない

今のロボットはエンターテイメントやホビー用途が多いが、PCも早い段階ではそうだった。現在のPCは役立つものになって広く普及したが、初期のホビーPCがなければ発展しなかった。ホビー市場からはVisiCalcのような製品も出てきた。PCと同じように、ロボットの発展にもホビー市場は必要不可欠だ

我々はビジネスだけを考えてStudioを作るわけではない。まず最初にコミュニティをサポートすることから始めて、これが成熟することでビジネスになると思っている。もしWindowsがなかったら今日のOfficeビジネスの成功もなかった。ビジネスの可能性は市場が成熟してから初めて出てくるものだ

我々はロボット市場に可能性はあると見ている。早く市場を成熟させたいというのが我々の動機になっている。WindowsはPCビジネスを成功させるための触媒だった。同じようにRobotics Studioがロボット市場を成熟させる触媒になると期待している。今はまだ投資の段階だけどね

--日本のロボットで何か興味を持ったものはあるか

昨年来日したときに、初めてタカラトミーのi-SOBOT(アイソボット)を見た。以前はサーボベースのロボットが1,000ドル~2,000ドルもしたのに、これは300ドルくらい。技術が手ごろな価格になってきた、しかも急速に

--現在、Robotics Studioが対応しているのは、ZMPの「e-nuvo WALK ver.3」、LEGOの「MINDSTORMS NXT」、近藤科学の「KHR-1」などだが、i-SOBOTも使えるようになるとインパクトが大きいのでは

公式サポートではないが、i-SOBOTを制御するためのインタフェースをユーザーが独自に作成している。ただPCから制御するには、赤外線インタフェースが必要になる。タカラトミーの方で、PC用の赤外線通信キットなどを出してくれれば、サポートは簡単になるのだが

Robotics Studioのアーキテクチャは、PCと通信できるロボットであれば、どんなハードウェアでも応用できるようになっている。新しいロボットに適用させるためのチュートリアルも入っている。ただし、これはそのロボットを深く理解していないと難しいが

--最後に何かメッセージを

Microsoftはロボティクスの未来に期待している。今日のPC市場以上に成長する可能性があると思っている。PCでは、デスクトップからラップトップまで、様々なスタイルが出てきたが、ロボットもそうなるはずだ。ビルが何年も前に「PCはすべての家庭、すべての机に置かれるようになる」と予測していたが、ロボットも将来的にはすべての家庭、すべてのオフィスに普及すると考えている

このインタビューの最後の言葉は、「ロボットと一緒に暮らす準備をしよう(Get ready to live with robots)」にしたい

--ありがとうございました