EcoRAMで新市場を開拓

Spansionは11月20日、同社が2008年6月に発表した検索サーバ向けメモリ「EcoRAM」の詳細に関する説明会を開催、その概要を明らかにした。

Spansion Japanの代表取締役社長 である田口眞男氏

EcoRAMについて、Spansion Japanの代表取締役社長 である田口眞男氏は、「データストレージの分野でNAND型フラッシュメモリは伸びている。ではNOR型フラッシュメモリはどうかを考えてみると、あまり成長性があるような市場調査会社の結果は出ていない。EcoRAMはNOR型のランダムアクセスが早いという特長を生かして、NOR型ではないとできない、今までとは異なる市場を切り開いていく」とその役割を語る。

Spansion Japanメディアストレージ事業本部 兼 Spansion PC/CEストレージ事業部長 小林三千夫氏

EcoRAMのリードタイムはナノ秒クラスであり、DRAMに匹敵するパフォーマンスを持っている。そのため、「そのパフォーマンスを生かすことで、DRAMよりも大きなメモリ空間を確保することができる」(Spansion Japanメディアストレージ事業本部 兼 Spansion PC/CEストレージ事業部長 小林三千夫氏)という特長を持つ。

EcoRAMのリードタイムのレイテンシはDRAMに匹敵する

EcoRAMの基本構成

EcoRAMの基本は、36枚のチップを搭載し、容量を32GBとしたNOR型フラッシュメモリを1枚のDIMMとして用いるというもの。これだけを見た場合、消費電力は4GBのDDR2 SDRAMと同様であり、「同じ消費電力で、みればDRAMの8倍の容量を実現できる」(同)という。

DRAMとの比較では、同じ10wの消費電力とすると、約8倍の容量を搭載できる

また、メモリ単体の性能ではなく、データセンタ(DC)全体で考えると、より多くのメモリを1つのサーバに搭載することができるため、合計160TBのメモリ容量を持つDCを仮定すると、設置コストは従来サーバ比で75%減、電力コストは同75%減で、サーバにかかる投資全体では45%のコストリダクションが可能となり、DC全体としてはTCOを60%削減できると同社では推定している。

データセンタのTCOを60%削減することが可能

同社が最初に狙う市場は既報の通り、検索サーバだが、特にx86サーバを狙うという。同分野においては、「現状、DRAMの消費電力は大きいし、搭載容量は(Opteronの場合)1CPUあたり8スロットの制限がある。性能を上げるためにはDRAMの容量を増やせば良いが、市場に出回っているDRAMの容量には限界があり、またプロセスの微細化も難しくなってきている。その結果として、メモリを増やすためにはサーバそのものを増やす必要がある」(同)との課題認識をしており、それをさらに容量の大きなNOR型フラッシュメモリでサポートすることにより、1台当たりの性能を引き上げようというのがEcoRAMのコンセプトとなる。

このEcoRAMは、米Viridentが設計した「GreenGateway Platformアクセラレータ」とセットで用いられる。このアクセラレータを介することにより、サーバは、EcoRAMにDRAMと同様な接続を行うことが可能となる。

Viridentとの役割分担(アクセラレータの設計はViridentだが、製造の注文はSpansionが出しているとのこと)

現在はメモリコントローラをCPUに内蔵している必要があるためOpteronにしか対応していないが、Intel系のx86プロセッサに関しても、今後順次対応を進めていくとしている。