18日(米国時間)、Adobe SystemsはMAX 2008カンファレンスの開催に合わせて、コードネーム「Cocomo」と呼ばれるWebサービスを公開した。
Cocomoは、最近流行りのPaaS(Platform as a Service)モデルによるサービス提供を目指すものであり、Adobeにとっては新しいビジネスモデルの試みとなる(どのようにしてCocomoから収益を上げていくかは、まだ未定とのこと)。
Cocomoの現在のバージョンは0.9で、β版という扱い。ドキュメントなどには「ACROBAT.COM」という文字が見受けられることから、正式リリースされた暁には、Adobeが提供するWebサービス群のポータルである「http://www.acrobat.com/」に組み込まれることになるだろう。
Cocomoの狙いは、リアルタイムでのコラボレーション(協調)作業を促進するようなプラットフォームを提供することだ。プラットフォームは、サーバサイドで動作するサービスインフラと、クライアントサイドで動作するFlexコンポーネントの双方を提供する。リアルタイム・コラボレーションと言ってもピンと来る方はそう多くないと思われるので、以下に現バージョンのCocomoで提供されている機能の一部を紹介する。
- チャット
- ファイル共有
- Webカメラによる映像配信
- VOIPによる音声配信
- ホワイトボード
- ユーザ認証やセッション管理
つまり、「複数ユーザが同時に並行作業する」という、実現にはひと手間もふた手間もかかる機能を、いとも簡単に実現してしまおう、というのがCocomoの狙いである。
Cocomoには、上記のような機能を非常に高いレベルで抽象化する「ポッド(Pod)」というコンポーネント群がある。それらを使えば先に挙げた機能を実現するのに必要なのはほんの数行だ。たとえば、以下の図はCocomoを用いて作成したホワイトボードであるが、この機能(ホワイトボード)を実現するために書いたコードは実質1行である。
今回は、Cocomoの開発を始めるまでの手順を簡単に解説し、新たなるAdobeの挑戦がどのようなものか、雰囲気をつかんでいただきたいと思う。