テーマはDynamic IT

Microsoftが主催する技術カンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama」が8月26日~29日の4日間、パシフィコ横浜で開催された。

今年の特徴は、Microsoftが提唱する「Dynamic IT」をテーマに、「Windows Server 2008」や「SQL Server 2008」、「Visual Studio 2008」といった新製品に関するセッションが多数用意された点。同時開催された「Microsoft Management Summit 2008 Japan」の影響もあり、運用管理、仮想化、セキュリティなどのIT Pro向けの話題も目立った。

以下、同カンファレンスの模様を、筆者が注目する「Windows Embedded」や「Robotics Studio」の話題を交えながら、開発者の視点からお伝えしていこう。

IT投資を保守中心から革新中心へ

開発者向けでは、WPFやSilverlightといったRIAを実現する技術や、LINQやADO.NETといったデータアクセス関連などのセッションが目を引いた。開発中の製品に関するものとして、次期Visual Studio Team System(VSTS)となるコードネーム「Rosario」のセッションも用意されたほか、Internet Explorer 8やWindows Mobileアプリケーション開発、組み込み機器を対象としたWindows Embedded、ロボット開発環境であるRobotics Studioのセッションなども催された。

Tech・Edには、アーキテクトから運用管理者、開発者、教育関係者まで多岐にわたる分野の人々が参加する。よって、セッション内容も多彩だが、全てのセッションに共通するテーマも設けられている。そして今年のテーマとして掲げられたのが、Microsoftが提唱する「Dynamic IT」だ。

Dynamic ITとは、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できる動的なインフラを構築することだ。その目的は、保守や運用に割り当てられているコストを、革新への投資に切り替えることにある。現状ではIT投資の80%が保守に割り当てられ、革新への投資は20%に満たないという状況だが、これを逆転させることがDynamic ITのゴールだという。

実は、昨年の「Tech・Ed 2007 Yakohama」の基調講演でもWindows ServerプログラムマネージメントディレクターのIain McDonald氏が「ダイナミック IT」というスライドを使っていたが、昨年のテーマは「People-Ready(社員の能力を引き出すための IT)」であり、People-Readyを実現する手段として「ダイナミック IT」があるという表現だった。

昨年のプレスリリースにDynamic ITという言葉があることからも、構想は以前から存在していたことがわかる。あれから1年。Windows Server 2008がリリースされた今、ようやくこの構想を実現するための環境が整ったことになる。