――現在の市場をどのように見ていますか。

世界中のどの地域においても顧客には共通した6つのトレンドがあると見ている。1つ目は開発プロジェクトの予算が以前と比べフラット、もしくは減少していること。2つ目はプロジェクトやプログラムが複雑化してきていること。3つ目と4つ目はプロジェクトそのもの、そして開発のライフサイクルが短縮されてきていること。結果として出てくる製品のライフサイクルも短くなってきている。5つ目は、差別化を図らないと生き残れなくなってきているということ。低コストで製品を提供できなければ差別化を図り付加価値を付けるしかない。そして6つ目は、市場の複雑化によりマーケット自体の予測がつけにくくなってきていることである。

こうした6つのトレンドはすべてプログラマブルロジックの優位性を証明することにつながっていると考えている。プログラマブルなソリューションは、ASICなどと比べ、開発期間の短縮、機能変更の容易性、マーケットの変動に合わせ易い、そしてコスト以外にも競合他社に対する差別化した機能を提供できるようになるという利点がある。

ASICやASSPは、プロセスの微細化に伴うマスクコストの高騰などにより開発コストが膨大になっている。そのため、それらの製品が用いられるのは、極めてハイボリュームの領域のみとなっていくだろう。

時代はFPGAをますます求めるようになるだろう。私の役割は、マーケットから出されるすべての要求事項を満たせる製品を常に提供できるようにすることにある。そして、そうしたトレンドから得られるメリットを、製品をもって顧客に提供できるようにする必要がある。

そのためには、新製品の開発において、マーケットの要望を満たすためにはどうしたら良いかをさまざまな方向から見ないといけない。通信分野のみを見るのなら、パフォーマンスのみを追求していけば良い。しかし、通信分野だけを見れば良いわけではなく、家電ではコストに対する要求も高いし、最近では、多数のIPを搭載したFPGAに対する要望も出てきている。

将来的には低消費電力に対応した製品も必要になるだろうし、よりプラットフォームにフォーカスすることで、顧客の開発をより効率的に行えるようにする必要もある。


――将来的な話と言いましたが、2006年5月に65nmプロセスを採用したVirtex-5シリーズの発表がありました。その際、次世代品の開発が進んでいることが語られていたのですが、現在の状況はどこまで進んでいるのでしょう。

45/40nmプロセスに対応したFPGAの製品化に向けた取り組みは進めている。2009年3月までには製品をアナウンスできるように開発を進めている。単にデバイス単体のみを発表するのではなく、顧客の求めるIP、メソドロジ、ドキュメント、マーケティング関係の資料などすべてを用意して提供できるようにするつもりだ。また、Spartanに関しても2009年に新シリーズを提供することを計画しており、幅広いラインナップを提供する体制が整うこととなる。


――ポートフォリオの拡張と少し被りますが、2008年8月18日に、Spartan-3Aシリーズを「Extended Spartan-3A」と変更しました。この意味はどこにあるのでしょう。

「Spartan-3A」シリーズは、3Aのほか、「Spartan-3AN」「Spartan-3A DSP」のシリーズが存在していた。これを統合してExtended Spartan-3Aとしたのは、一重に顧客によりシンプルに製品を理解してもらえるように変更をしたものであり、本当に必要とされるラインナップとなった。