Hyper-Vの使用要件
Hyper-Vを使用するために必要な環境は以下の通りです。
ホストOS
Windows Server 2008 Standard/Enterprise/Datacenter Editionのx64版。ただし、初期出荷のWindows Server 2008に収録したHyper-Vはベータ版です。Windows Updateを実行するか、マイクロソフトのダウンロードサイトで更新プログラムをダウンロードして実行します。
なお、ベータ版やRC版Hyper-Vで作成した仮想マシンや、Virtual Serverで作成した仮想マシンを正式版Hyper-Vに移行する方法は、当記事の後編で紹介します。
プロセッサ
仮想化支援機能のIntel VTやAMT-Vと、DEP(データ実行防止)機能を実装したx64プロセッサ(Intel 64またはAMD 64プロセッサ)。インテル製Core2シリーズのプロセッサならE5000番台以降が必須となります。プロセッサが仮想化支援機能やDEPに対応していても、BIOSでこれらの機能を無効化している場合や、BIOSがこれらに非対応のときはHyper-Vを使用できません。BIOSが非対応の時は、BIOSを最新版にアップデートすることで対応できる場合があります。
メモリとHD(ハードディスクドライブ)
メモリやHDの容量に関しては、親パーティションのホストOSとなるWindows Server 2008の要件を満たした上で、子パーティションで実行するゲストOSとアプリケーションに応じた資源が必要です。
たとえば、ホストOSがWindows Server 2008(最低メモリ512MB)で、ゲストOSでExchange Server 2007(最低メモリ1GB)を運用するのであれば、最低でも1.5GBのメモリが必要になります。ただし、親パーティションと全子パーティションのシステム全体での日常的なプロセッサ使用率が約80%以下にとどまるようにしてください。HDに関しても親パーティション、子パーティションの総計に十分な容量が必要です。
パフォーマンスを向上させるためには、複数のHDを装備し、なるべくアクセスが分散するように、複数のHDに仮想HDを分散させるのが理想的です。
当記事では、便宜上、Virtual Serverなどの従来型仮想環境の用語を借用して、仮想マシン環境をインストー構築するためにあらかじめ必要となるOSを「ホストOS」と記載しています。Hyper-Vでは、Hyper-Vインストール後、これは親パーティションとなります。しかし、Hyper-Vの親パーティションは仮想環境をエミュレートするわけでもハードウェアを直接管理するわけでもないため、従来の仮想環境のホストOSとは異なります。親パーティションは、子パーティションと並列に近い関係にある一方(1ページ目参照)、Hyper-Vを管理する役割を担う点で子パーティションと異なります。
ネットワークインタフェース
ホストOSとゲストOSでインタフェースを共有します。1つのインタフェースを共有して使用することもできますが、パフォーマンスやセキュリティを考慮すれば、ホストOS用のインタフェースとは別にゲストOS用のインタフェースを用意した方がいいでしょう。
ゲストOS
仮想マシンにインストールして使用できる標準対応のゲストOSは以下の通りです。
ゲストOS | 最大割り当て プロセッサ数 |
---|---|
Windows Server 2008 Standard/Enterprise/Datacenter Edition Windows Web Server 2008 (x86またはx64版) |
4 |
Windows Server 2003 with SP2 Standard/Enterprise/Datacenter Edition (x86またはx64版) |
2 |
Windows 2000 Server with SP4 Windows 2000 Advanced Server with SP4 (x86版) |
1 |
Windows Vista with SP1 Business/Enterprise/Ultimate (x86またはx64版) |
2 |
Windows XP Professional with SP3(x86版) | 2 |
Windows XP Professional with SP2(x86版) | 1 |
Windows XP Professional with SP2(x64版) | 2 |
SUSE Linux Enterprise Server 10 with SP1/SP2(x86またはx64版) | 1 |
ハードウェア上の実プロセッサ(コア)数を超えない範囲で、子パーティションが使用するプロセッサ数を各OSの最大割り当て、プロセッサ数以下の数で任意に設定できます。上記以外のOSであっても、x86系のOSであればインストールできるOSが少なくないと思われますが、その場合はサポート対象外の自己責任による運用となります。今後、Hyper-Vハイパーバイザ対応のサードパーティ製品も登場するかもしれません。
なお、ハイパーバイザ非対応OSや、Hyper-V非対応のサーバコンピュータに関しては、従来のVirtual Server 2005 R2を使用するといいでしょう。特にVirtual Server 2005 R2はPentium III時代の標準といえる440BXチップセットのコンピュータをエミュレートするため、現在のコンピュータとは互換性がない古いOSやサーバプリケーションを実行するには最適です。
当記事では、便宜上、Virtual Serverなどの従来型仮想環境の用語を借用して、仮想マシン環境をインストー構築するためにあらかじめ必要となるOSを「ホストOS」と記載しています。Hyper-Vでは、Hyper-Vインストール後、これは親パーティションとなります。しかし、Hyper-Vの親パーティションは仮想環境をエミュレートするわけでもハードウェアを直接管理するわけでもないため、従来の仮想環境のホストOSとは異なります。親パーティションは、子パーティションと並列に近い関係にある一方(1ページ目参照)、Hyper-Vを管理する役割を担う点で子パーティションと異なります。