John Allsopp。Blog「microformatique」の運営者。『Microformats: Empowering Your Markup for Web 2.0』の著者としても知られる

木達: まずは簡単に自己紹介をお願いしたい。

Allsopp: オーストラリアから来た。コンピュータサイエンスと数学を学びソフトウェアを開発、Web上で15年以上にわたり公開してきた。主要なソフトとしてはCSSエディタのStyle Masterがあるが、これはMacintoshとWindowsの双方に対応しており、ちょうど10歳を迎える。またWeb Directionsと名付けたカンファレンスを、オーストラリア・シドニー(「Web Directions South」)やカナダ・バンクーバー(「Web Directions North」)で開催してきた。これはWebデザイナー、Web開発者、Webプロフェッショナルのためのイベントで、業界内でよく知られたスピーカー、たとえばEric MeyerDan CederholmJeffrey ZeldmanJeffrey Veenといった人々が登壇している。今年後半には、東京でWeb Directions Eastを開催する予定だ。

木達: マイクロフォーマット関連で、現在取り組んでいることは?

Allsopp: マイクロフォーマットに特化した、メジャーなプロジェクトには携わっていない。私のBlog「microformatique」で、関連したニュースやトピックスを追いかけているぐらいだ。他には、マイクロフォーマットについての質問にメールで回答している。複数の企業から、マイクロフォーマットに関連してアドバイスを求められたこともあった。カンファレンスや企業向けに、マイクロフォーマットのプレゼンテーションを行うこともある。

木達: マイクロフォーマットは普及し始めてはいるが、ユーザーが直接的に利便を得る機会はまだそう多くなく、「鶏が先か、卵が先か」に似た状況を脱していないとする見方もある。

木達一仁。ミツエーリンクス R&D本部所属。同社 取締役、W3C Advisory Committee Representativeも務める。『マイクロフォーマット ~Webページをより便利にする最新マークアップテクニック~』の監訳を担当

Allsopp: マイクロフォーマットは優れた考え方として誕生したが、当時はそれを利用するサービスはなかった。つまり、マイクロフォーマットが価値を生み出せる状況になかった。しかし2~3年経って、その状況は解消したと思う。多くのコンテンツのパブリッシャーやサービスがマイクロフォーマットをサポートし、今や大きな市場が存在するからだ。(この話題を語るうえで)3つの重要な要素として、コンテンツ発信者、コンテンツ利用者、ツールやライブラリがある。コンテンツ発信者については、既にYahoo!Ma.gnoliaなどが、膨大なマイクロフォーマット対応コンテンツを発信している。ツールやライブラリについてはCognitionOptimusX2V、そしてPHPや他の言語でマイクロフォーマットをパースしたりアグリゲートしたりするライブラリが存在する。つまり、何かサービスを開発するのにゼロから始める必要はないのだ。最も重要かつ興奮させられる話題として、Yahoo!の新しい検索サービスのSearchMonkeyがある。SearchMonkeyはマイクロフォーマット対応コンテンツや構造化データをアグリゲートし、インデックス化する。上司やクライアントというのは、往々にしてSEO好きで、それを最重要事項と捉え、常に検索結果の上位ランクインを目指すものだ。そういった人々に対して、Yahoo!がマイクロフォーマットをアグリゲートしていることを説明すれば、マイクロフォーマット導入の良いきっかけになるかもしれない。

木達: マイクロフォーマットを導入したことでSEO上の効果が確認された証拠はあるのか?

Allsopp: SearchMonkeyがマイクロフォーマット対応コンテンツをインデックス化していることは事実だ。所在地情報の検索であれば地図が、イベント情報であればタイムラインが検索結果に挿入される。マイクロフォーマットを仕込めば、それだけ露出機会が増えると言えるだろう。まだ実験的だし、初期の段階に過ぎないが、いずれマイクロフォーマットを使わなければ、最良の検索結果を得られなくなるかもしれない。