ユーザー全体より10ポイント低い青少年の"中毒率"
利用率における格差は、じつは青少年ネットユーザーの内部にもみられる。社会人と大学生のリアルタイム通信の利用率はともに96%強で、高校生や中学生より10ポイント高い。大学生のブログの利用率は50.3%と最も高く、社会人(31.0%)や中高生 (27.3%)より20ポイント以上も高くなっている。
オンラインゲームの利用率では、中高生が73.1%と最高で、2位の社会人が67.7%、大学生が最低で57.1%となっている。中高生がオンラインゲームをプレイする時間は週平均で3.3時間だが、詳しく見ると、週2時間~5時間が27.7%、5時間~10時間が8.6%、10時間~が5.5%となっている。
最も勉学に勤しむべき高校生や中学生がオンラインゲームに耽溺することは、中国が抱える社会問題の一つとして、大きく取り上げられている。「ネット中毒」の問題である。
ネット中毒に関しては、青少年がほかの年齢層の人よりネット中毒になりやすいと考えられている。だが、今回の報告書を見ると、そうした通説とはやや異なる事実が明らかとなっている。
同報告書によれば、ネット中毒かどうかを判定するために、「一日でもインターネットを接続しなければ、何か物足りない感じがするか」と質問。これに対し、「感じがする」と答えた青少年は27.1%。ネットユーザー全体の38.3%より10ポイント低かった。
さらに、青少年ネットユーザー内部でも分布格差がみられた。これによると、「感じがする」と答えたのは、社会人が36.5%で最も高く、大学生は26.8%、高校生や中学生は21.0%という結果となった。
青少年のネット利用でも都市と農村の格差が存在
急速な経済成長を続ける中国では、都市部と農村部の発展格差が社会問題として指摘されて久しい。青少年のネット利用率などにおいても大きな地域格差がみられる。
まず、青少年のネット利用率をみると、都市部では67.7%、農村部では32.3%となっている。農村部のネット環境が都市部ほど整備されていない実情がうかがえる。
また、都市部の青少年ネットユーザーの70.9%が自宅でインターネットに接続しているが、農村部では、59.5%がネットカフェで利用している。インフラの普及状況、各家庭の可処分所得の差が、都市部と農村部の青少年のネット利用率に影響を及ぼしているものと考えられる。
目的別の利用率における違いに目を向けると、リアルタイム通信、音楽鑑賞とダウンロード、映画やビデオの視聴・ダウンロードの利用率においては都市部と農村部の青少年ネットユーザーの間にあまり差がない。
だが、オンラインゲームの利用率においては、農村部のユーザーが都市部のユーザーに10ポイントもの大差を付けられている。また、農村部ユーザーの検索エンジン、eメール、ニュース視聴の利用率も、都市部のユーザーの利用率より10ポイント以上も低い。
オンラインゲームに代表されるインタラクティブな娯楽目的の利用や、比較的実用性の高い利用目的でも、農村部のネットユーザーが都市部のユーザーより遅れている実情がうかがえる。こうした地方格差をいかに縮めていくかが、青少年のネット世界でも求められているといえる。