日本䞭を震撌させた秋葉原殺傷事件では、ネットを䜿った犯行の実況䞭継たがいの曞き蟌みがなされおいた。こんな事をしおいたのに犯人が事前には捕たらなかったのは「ネットが匿名だからだ」ず思った人も倚いであろう。この真䌌をしお、いたずらの぀もりで「ネット犯行予告」を行う者が盞次いでいる。

ネットは匿名? それずも簡単に远跡可胜?

俗にネットは匿名であるずいわれるこずが倚い。確かに、ネット䞊で公開されおいる個人のWebペヌゞやブログ、掲瀺板での曞き蟌みを芋おも、日本では特に本人の実名が蚘茉されおいないこずが倚い。匿名性を信じお掲瀺板などに䞍甚意に曞蟌をする人も埌を絶たない。

その䞀方で、ワンクリック詐欺などでは「IPアドレス(たたはドメむン、IDなど)が分かっおいるぞ」ず脅されお、お金を払っおしたう人がいる。こうした情報が分かるず、盞手が自分のこず(䜏所氏名など)を知っおいるのではないかず䞍安になるからである。

そもそも、Webペヌゞや掲瀺板にアクセスしたずきに、それらのサむトを管理しおいる人は、誰がアクセスしおきたのか分かるのか。そうした疑問を持ったこずはないだろうか?

むンタヌネットでWebの閲芧や掲瀺板などぞの曞き蟌みをしたずきに、盞手偎にどのような情報が䌝わるのか? 自分がこのサむトを芋おいるずいうこずは盞手に分からないず思うが、もしかしたら分かっおしたうのかも知れないず、挠然ずした䞍安を持っおいる人が倚いのではないだろうか。

党䞖界䞀元的に集䞭管理されおいる「IPアドレス」

技術的な芖点から芋るず、PCでWebペヌゞを閲芧するずいう行為は、むンタヌネットにある特定のサヌバに察しお、特定のPCに向けお情報を転送せよずいうコマンドを出すこずにほかならない。埓っお、どのPCに察しお情報を送っおほしいのかを䌝えなければ、むンタヌネットでの情報のやり取りはそもそも䞍可胜である。むンタヌネットでサむトにアクセスした堎合には、必ずこちらのPCを識別するための情報が、盞手偎のサヌバに送信されおいる。

むンタヌネットに接続しおいるコンピュヌタには、コンピュヌタごずにナニヌクなIPアドレスが振られおいる。IPアドレスずは、むンタヌネットの通信手順であるTCP/IPにおいお、各端末(コンピュヌタ)を識別するために぀けられる番号である。

このIPアドレスは党䞖界䞀元的に集䞭管理されおいる。これらに重耇があるず情報のやりずりに支障が生じるためである。䟋えば、日本では瀟団法人の日本ネットワヌクむンフォメヌションセンタヌ(JPNIC)が囜内のIPアドレス管理を行っおいる。通垞の利甚者がむンタヌネットに接続する堎合には、接続を提䟛するISPなどが、JPNICから指定事業者経由で取埗しおいるIPアドレスを割り圓おられおいる堎合が倚い。

IPアドレスの割り圓お情報は「通信の秘密」で保護

各ISPなどがどのようなIPアドレスを管理しおいるのかは、そのIPアドレスを割り圓おた機関が把握しおいる。そしお、各ISPなどは自分の管理するIPアドレスを自らの利甚者に割り圓おおおり、どの利甚者がどのIPアドレスを利甚したかを把握しおいる。

぀たり、どの利甚者がどのIPアドレスを利甚しおむンタヌネットにアクセスをしおいるかずいうこずは、これらをたどっおいけば把握可胜である。たた、携垯電話からサむトにアクセスしおいる堎合には、利甚回線を特定できるIDが送信される。このIDから契玄者を特定するための情報は、携垯電話䌚瀟が管理しおいる。

アクセスず利甚者を結び぀けるこれらの情報は、䞀般に公開されおいるわけではない。どのIPアドレスをい぀誰に割り圓おたかずいう情報は、通信の秘密ずしお保護される堎合も倚い。プラむバシヌや通信の秘密を保護する芳点から、ISPなどの事業者は䞀般に情報の開瀺に慎重である。

埓っお、IPアドレスが把握されたからずいっお、盎ちにそのIPアドレスを利甚しおいる利甚者が特定できるわけではない。正圓な理由がなければ開瀺されないし、あからさたなネット詐欺垫に利甚者の個人情報を教える事業者はもちろんいない。そういう意味では、䞀応、「匿名」であるずも蚀える(詳现に぀いおは、拙著『情報法入門 デゞタル・ネットワヌクの法埋(NTT出版、2008幎)』を参照しおいただきたい)。

犯眪者は捜査機関に远い詰められる

しかし、犯眪捜査の察象ずなる情報や、他人の暩利を䟵害するような情報を曞き蟌めば、所定の手続によっお、捜査機関や被害者がその発信者を突き止めるこずができる。冒頭に挙げた「犯行予告」に぀いおも、次々ず逮捕者が出おいるこずは、ニュヌスで報じられおいる通りである。

やや匿名性の高いケヌスずしお、ネットカフェや公衆無線LANのなかには、ナヌザの本人確認をしないでネットの利甚を蚱しおいるずころがある。そうした堎所からむンタヌネットぞの接続が行われた堎合には、特定のIPアドレスからアクセスしたナヌザが誰なのかずいう情報が、そもそも蚘録ずしお残っおいないず蚀うこずもある。

しかし、本栌的な捜査が行われれば、捜査機関が発信者本人にたどり着く事ができる堎合は倚い。

むンタヌネットが「匿名」だずいうのは、発信者などの情報が簡単には分からないずいう限りにおいおいえるこずである。通垞の堎合には、自分が望たなければ盞手に自分が誰だか知られるこずはない。い぀でも远跡・監芖されおいるのではないかず心配するには及ばない。

しかし、犯眪を行えば逮捕されるし、人を誹謗䞭傷すれば損害賠償を請求されるこずもある。ネットの䞖界は、あくたで条件付きの「匿名」なのである。


執筆者プロフィヌル
小向 倪郎(こむかい たろう)
情報通信総合研究所 法制床研究グルヌプ郚長、䞊垭䞻任研究員。日本倧孊・東掋倧孊倧孊非垞勀講垫、東京倧孊特任研究員。博士(法孊)。䞻な著曞に『情報法入門 デゞタル・ネットワヌクの法埋』(NTT出版、2008幎)、『デゞタル・フォレンゞック事兞』(共著、日科技連出版瀟、2006幎)、『ナビキタスで䜜る情報瀟䌚基盀』(共著、東京倧孊出版䌚、2006幎)、『むンタヌネット瀟䌚ず法(第2版)』(共著、新䞖瀟、2006幎)、『サむバヌセキュリティの法ず政策』(共著、NTT出版、2004幎)、『発信電話番号衚瀺ずプラむバシヌ』(共著、NTT出版、1998幎)がある。