組み込みJavaはなぜ増えるのか

組み込み機器に導入するに当たって、コスト面、市場性についてメリットがなければならない。また、技術自体の導入障壁が高くても導入が困難になる。コスト面については、Javaを導入する際に、ハードウェアリソースの強化が必要になってくる。しかしながら、前記したように、機器がPCに準じた性能・リソースを持てるようになりつつあるため、リソース強化という面ではデメリットにならなくなりつつあり、唯一とも言うべきデメリットは縮小される方向だ。コスト面におけるJavaを利用する最大のメリットは、ハードウェアの構成にかかわらず、作成したアプリケーションの再利用性が高まることである。

大抵の場合、機器は数種類の異なるスペックを持つ機器をラインナップとして展開する。このような展開を考える際には、ハードウェアの構成自体を変えることが一般的である。従来の組み込みアプリでは、機種ごとにアプリケーションを再開発しており、再利用性を高めるために様々な労力を払ってきた。Javaを利用することは、このような機種間で異なる開発をする必要が無くなるため、トータルな開発コストの削減を生み出す。

機器へのJavaによるアプリケーションの市場性については、機能などのソフトウェアのアップデートや追加が容易であることが上げられる。これらは、一見買い換え需要を阻害するように見えるが、ネットワークを通じたアップデートは機器に対するメンテナンス性を向上し、ユーザーの満足度向上につながる。

また機能の追加が可能であれば市場への製品投下を早めることもできる。本来考慮していた機能が未達でも、市場で成長させることで市場ニーズを早期に把握し、またニーズへの対応も早くなる。VM上で動作するJavaアプリケーションはハードウェアを損ねることなくこのような対応が実現できる。さらに安全面についても優位性を保てるようになる。これはアプリケーションがファームウェアやハードウェアから完全に隔離された状態で動作するため、万が一アプリケーションが動作しなくなっても、ハードウェア自体を止めることはなく、VMをリセットするだけで復帰する。