マイクロソフトは3日、「Windows Live」のAPIを利用してサイトでさまざまなサービスを提供することを可能にする「Windows Live プラットフォーム」についての日本語版リファレンスを公開した。

「Windows Live プラットフォーム」は、5分野12種類のサービスAPI&コントロールで構成されている。内訳は、インフラストラクチャ分野としてSilverlight StreamingとWindows Admin Centerの2種。ユーザーデータ分野としてWindows Live Spaces、Windows Live Contacts、Windows Live Photo、Application-Based Storageの4種。メッセージング分野としてWindows Live Messanger、Windows live Alerts、Windows live Agentsの3種。地図と検索分野としてVirtual EarthとLive Searchの2種。そして、これらの認証基盤であるWindows Live IDとなる。

Windows Live プラットフォーム

Windows Liveは使い慣れた操作感で各種サービスを活用できるものとしてマイクロソフトが提供してきたものだが、Windows VistaからはよりOSとの親和性が増している。代表的なサービスであるWindows Live Hotmailのユーザーは世界では3億5000万人にのぼり、国内でも550万人が利用している。Windows Live Messengerのユーザーは世界で3億人、国内で540万人が利用する。

マイクロソフト業務執行役員 Windows本部長 大場章弘氏

「Windows LiveとMicrosoft Onlineとの棲み分けは、Microsoft Onlineが社内にIT部門をもつ中規模以上の企業を対象として、より高度な要求にも対応するもの。Windows Liveは個人ユーザーやIT部門を持たない中小規模企業を対象としたものだ。しかし明確な切り分けができるものではなく、この2つのサービス間の壁は低いものになると予測される。マイクロソフトが投資して構築したサービスを再利用することで、中小規模の企業でも動画などを利用したサイトが構築しやすくなる」とマイクロソフト 業務執行役員 Windows本部長である大場章弘氏は語る。

マイクロソフト Windows本部 Windows Live推進部マネージャ 磯貝直之氏

すでに約1年前から、アメリカではこのAPIを活用したサービスが登場している。先行事例としてアメリカでの動画配信サービスを紹介したマイクロソフト Windows本部 Windows Live推進部マネージャである磯貝直之氏は「自社サイトで紹介動画を配信するだけでなく、ユーザーから動画投稿を募ることもできる。また、Windows Live Messengerと連動させ、自分の友人と同じ動画を見ながらチャットをすることも可能で、さらに別の動画に切り替えてもそれが共有できる。同じ部屋でテレビのチャンネル争いをするように友人とコミュニケーションできる」と語る。

各種APIの利用は基本的に無料で、公開されたリファレンスの利用も無料。ただし、将来的に一部有償化の可能性があり、現時点でもVirtual Earthの商用利用および政府利用は有償となっている。今後の有償化対象サービスおよびスケジュールについては未定だとしている。

他社サービスとの複合利用についての制限はないが、Virtual Earthについてのみ、地図ソース提供元とのライセンスの関係から他の地図サービスと組み合わせての利用はできない。

USEN取締役 最高技術責任者 開発本部長 二木均氏

この「Windows Live プラットフォーム」の国内第1号ユーザーとなったのが、USENの提供する動画サービス「Gyao」だ。「Gyao」では新番組の配信開始等について従来はメールでユーザーに連絡を行っていたが、今後はLive Alertsを利用したメッセージの配信を行う。これによってユーザーは最新情報を手軽に入手できることになる。「Gyaoが配信するRSSとLive Alertsを連携させることで、ユーザーのデスクトップ上にポップアップでメッセージを表示できるようになった」とUSEN取締役 最高技術責任者 開発本部長である二木均氏は語る。

今後はさらに日本語情報の整備を進め、オンライン&オフラインでのトレーニングや既存パートナープログラムを活用しての情報提供を行いたいとしている。既存の開発者向けコミュニティへの情報提供や、外部プログラミングコンテストへの賛同も行うなどして「Windows Live プラットフォーム」を普及・促進したいとしている。