IBMの関連会社でソフトウェア開発ソリューションプロバイダであるスウェーデンTelelogicの日本法人、日本テレロジックは14日、同社のモデル駆動型開発(MDD:Model Driven Development)ソリューション「Telelogic Rhapsody」の機能拡張バージョン「Telelogic Rhapsody 7.2」および「Telelogic Rhapsody Eclipseプラグイン」を発表した。Telelogic Rhapsody 7.2は即日提供を開始、Telelogic Rhapsody Eclipseプラグインは夏ごろの提供開始を予定している。

Telelogic Rhapsodyは、UML 2.1、SysML 1.0、DoDAF、AUTOSARを用いたシステム設計とソフトウェア開発が可能なMDD環境。開発プロセスの全域におけるモデルベースのシミュレーションとテストによる検証と妥当性の確認ができ、モデルからC、C++、Java、Adaのアプリケーションコードを自動生成することができる。

バージョンアップ版となる7.2では、ソフトウェア資産の再利用に対する対策が施されたほか、システムエンジニアリングへの機能追加が施されている。

ソフトウェア開発において、全製品の42%は既存の製品をベースとしており、平均ではアプリケーションのコードの40%は再利用であるという。また、「ソフトウェアを効果的に再利用するためには、コードの文書化が必要だが、多くが正しく文書化されていないのが実情である」(Telelogic,VicePresident,Marketing & Business Development Systems & Software Modeling Business Unit ジョージ・ルブラン氏)という。

Telelogic,VicePresident,Marketing & Business Development Systems & Software Modeling Business Unit ジョージ・ルブラン氏(第11回 組込みシステム開発技術展の会場にて撮影)

そのため、7.2では既存およびサードパーティのコードのビジュアル化を行うことで、アプリケーションの構造を明確化、文書化と同様の効果を実現している。こうすることで、「既存コードと、新しい機能の間のインタフェースを容易に理解することが可能になる」(同)という。

また、コード保存(尊重)がCに対応した。これにより、C言語で書かれた既存コードの構造、名前付け、位置、順番を管理しながら、再利用することが可能となったほか、既存コードをリバースエンジニアリングし、コードレベルの変更を、モデルへラウンドトリップすることが可能となった。

一方、システムエンジニアリングへの新機能としては、要求テーブル、割り当てテーブル、マトリックスに対応したほか、トレード分析のサポート、設計の一貫性の改善などが行われた。

要求テーブルにより、要求情報をまとめ、割り当てテーブルにより、キーとなる情報にどれだけブロックが割り当てられているかが示される。また、マトリックスにより、モデル要素同士がどの程度接続されているのかが示される。

トレード分析のサポートでは、物理的な次元と計測単位のモデル化が行われる。「単位を比較することにより、異なった設計のトレード分析が可能になる。例えば、2つの開発チームがメートルとフィートを別々に用いて設計したものを統合した場合、事故の原因となるが、分析を行うことで、こうした問題を解決できるようになる」(同)という。

このほか、7.2ではグラフィカルパネルに対応した。これにより、設計の振る舞いを、顧客に見せやすくすることができるようになる。また、開発の初期段階において、インタフェースのモックアップを用いてシミュレーションを行うことで、データの値を従来以上に変更、観察、分析しやすくすることも可能となる。

Telelogic Rhapsody Eclipseプラグインは、オープンソース統合開発環境(IDE)である「Eclipse」にRhapsodyの機能を統合したもの。1つの統合された環境下でRhapsodyのモデル化された画面とEclipseのコードを表示およびエディットすることが可能だ。また、設計とデバッグ環境の統合も行われ、Rhapsodyの図を見ながらモデル情報の閲覧やEclipseのインテリセンスの利用などができる。