David Folk氏

4月28日(現地時間)にリリースされたNetBeans 6.1では、JavaScriptの編集支援機能、パフォーマンスの大幅向上、Spring Frameworkのビルトインサポート、MySQLサポートの強化など、数多くの機能追加/改善が施されている。そして、その6.1の公開から間もない5月5日には、GlassFish V2 Update 2とMySQL Community Server 5.0をバンドルした「NetBeans IDE 6.1 with Glassfish and MySQL Bundle」がリリースされた。

これらの動きをざっと眺めてもわかるように、JavaScriptを筆頭にした「動的言語」および「MySQL」のサポート強化が現在のNetBeansにおけるメインストリームと見ていいだろう。今後、NetBeansはさらにこの方向性を強めていくのか、米国サンフランシスコで開催中の2008 JavaOne Conference(以下、JavaOne 2008)のプレス向けラウンドテーブルにおいて7日(現地時間)、Sun MicrosystemsでNetBeansマーケティングのグループマネージャを務めるDavid Folk氏が現状および近い将来のNetBeansについて説明を行った。

次のアップデートの主役はPHP関連機能

MySQL-GlassFishバンドル版がリリースされた同じ5日、SunとNetBeansコミュニティはPHPをサポートした「Early Access for PHP」を発表している。Sunにとっても、PHPサポートは数あるTo-Doリストの中で最も重要度の高いプロジェクトであり、Folks氏もラウンドテーブルの冒頭から「(EA版のリリースは)非常にエキサイティングなニュース」と触れている。「おそらく次のバージョン(10月リリース予定のNetBeans 6.5)で正式対応となるだろう」(Folks氏)とのことだ。

JavaOne 2008ではJavaFXのロードマップが発表されるなど、再びJavaFXへの関心が高まっているが、ラウンドテーブルでも「JavaFXへの対応は?」という質問が出た。これに対しFolk氏は「我々の動的言語に関するストラテジでは現在、JavaScript、Rub/Rails、そしてPHPを最重要と位置づけている。その次がPython/Jythonになるだろう。(JavaFXに対応するとしたら)その次以降になるのかな」と述べ、当面はJavaFXをサポートする予定はないとしている。

データベースはMySQLで決まり?

すでに米国ではSunとMySQLの事業統合は完了しており、現在、MySQLはSunの1ディビジョンとして存在する。買収完了後、Sunの各プロダクトとMySQLを統合させる動きは加速する一方で、NetBeansもその例にもれない。冒頭にもあるように、6.1ではMySQLサポートを大幅に強化し、またMySQLをバンドルしたプロダクトもリリースしている。

今後もMySQLへのコミットは強化されることはあっても弱まることはないだろう。だが1つ気になるのは、とくに日本で人気の高いPostgreSQLへの対応だ。Folk氏に訊くと「もちろんPostgreSQLは我々にとっても非常に重要で興味深いRDBMSだ。JDBCとの親和性も高いし、常に意識していたいOSSプロダクト」としながらも、「(MySQLのように)バンドル版を出すようなことは当分ないだろう」と回答した。優先度はやはりMySQLのほうが高いのは当然だが、PostgreSQLや他のRDBMSのサポートも引き続き行っていくという。