もともとJava向けの統合開発環境として開発されてきたNetBeans IDEだが、6系列からスクリプト言語の統合開発環境としての色を強めている。Sun Microsystemsは先日公開されたNetBeans 6.1 IDE Betaに言及し、6.0と比べてさらに多くのOSSスクリプト技術に対応したことを主張。Developer.comのDeveloper.com's Product of the Year 2008では開発ツールでNetBeansが選択されるなど根強い人気をみせている。

NetBeans IDE 6.1 Beta

公開されたベータ版NetBeansで注目されるのは、JavaScriptサポート機能の実現、MySQLデータベースのよりタイトなインテグレーション機能の提供、Ajax Webアプリケーション関連の機能強化の3点にある。特にJavaScriptのサポートは注目ポイントだ。JavaScriptサポート機能は6.0で実現されたRubyサポート機能をベースに構築されており、コードのハイライト、コード補完、型分析、リファクタリング、セマンティックチェック、クイックフィックスなどの機能が提供されている。JavaScript特有の機能としてはFirefox、IE、Opera、SafariなどのWebブラウザ互換コーディング機能がある。それ以外では起動時間の改善とコード補完時間の改善、Spring Frameworkサポートの強化、Ruby/JRubyサポートの強化などが注目される。

Sun Microsystemsは2006年9月、JRubyの開発者であるCharles Oliver Nutter氏とThomas Enebo氏を雇用。以後JRubyの開発は活発に続き、近々リリースが予定されている最新のJRuby 1.1ではきわめて強力な実行速度を手に入れることが確実なものとなっている。同じような成果を見込んで同社は3日(米国時間)、PythonとJythonの開発者であるTed Leung氏とFrank Wierzbicki氏を雇用している。

Ajax Webアプリケーションシステムの開発においてJavaScriptが演じる役割はその重要度を増している。新しい言語仕様の策定からJITを使った実行速度の改善、開発用フレームワークの普及や発展まで、JavaScriptまたはECMAScriptベースのスクリプト言語はクライアントアプリケーションの開発で重要な位置をしめはじめている。Aptana Jaxerに至ってはサーバサイドすらJavaScriptで開発できる。スクリプト言語のサポートを強化するNetBeansは要求される状況を反映したものといえるだろう。この流れは今後も続いていくとみられる。