COOL Chips XIでは3件の招待講演が行われた。その1番目の招待講演が、NECの京氏によるIMAPCARに関する講演である。

IMAPはIntegrated Memory Array Processorの頭文字を並べた命名で、NECは、1990年代の初めにIMAP-1を開発し、その後、IMAP-2、IMAP-VISION、IMAP-CEと開発が行われ、その最新のチップがIMAPCARである。CARという名前がついているように、IMAPCARは車に取り付けたステレオビデオカメラの信号を処理して車線のマーカーを検出したり、前方の車を監視するなどの情報処理を行うことをターゲットとしており、トヨタのLEXUSのプリクラッシュセーフティーシステムに採用されているという。

IMAPCARについて講演するNECの京氏

IMAPCARは、そのIMAPという名の通り、2KBのRAMブロックごとにプロセッシングエレメント(PE)が接続されている。各PEは4命令並列のVLIWで、ALUが2演算、乗算が1演算とメモリをアクセスするユニットを制御している。そして、IMAPCARは、128個のPEを一次元のループ状に接続した構成となっている。これに加えて、各PEのRAMブロックと外部のSDRAMとの間でデータをやり取りするパスを持っている。PE間の接続は一次元のループであるが、この構造を使って、二次元の画像の回転、拡大や、その他の特徴抽出などの処理を行うことができるという。

IMAPCARチップは、130nmプロセスで作られており、トランジスタ数は26M、1.2V動作で100GOP/sの演算性能を2Wの消費電力で実現している。

IMAPCARの1個のProcessing Element

IMAPCARは一つの命令列で128個のPEを並列に動作させており、画像の全ピクセルを処理する場合には全PEが並列に動作して効率が良いが、画像の注目点だけを処理するような場合には、アレイの一部のPEだけしか使用できないという問題がある。このため、次世代のIMAPCAR2では、高並列のSIMDに加えて中レベルのMIMD処理の柔軟性を付け加える予定であるという。