マイクロソフトは、「Microsoft Office SharePoint Server 2007」による情報検索、文書管理やコラボレーションなどのソリューション、導入事例、「Office SharePoint Server 2007」を中核とした、同社のインフォメーション ワーカー製品群によるソリューションなどを広く紹介する「Microsoft Office SharePoint Conference 2008」を東京港区で開催、同社執行役 常務 ビジネス & マーケティング担当の佐分利ユージン氏が「Microsoft Office SharePoint Server 2007 人、情報、企業価値を最大化するビジネスプラットフォーム」と題して基調講演を行った。

ITの活用レベルが高い企業は、平均的な企業より成長率が3.5%高く、同レベルが低い企業に比べ、生産性が23%高い。さらに従業員一人当たりの年間生産性は約37万ドルで、下位の企業より約7万ドル高いという(出典:Enterpraise IT Capabilities and Business Performance, Keystone Strategy 北米、欧州、日本の製造業161社が調査対象で、日本企業は39社)。

マイクロソフト執行役 常務 ビジネス & マーケティング担当の佐分利ユージン氏

佐分利常務はこのような調査結果を引用、「ITの活用の仕方と企業の成長率には密接な相関関係がある」と強調した。ただ、日本の現状は「まだCIO(Chief Information Officer)は4%程度しか存在していないし、1/3は兼務だ。そのような面では、まだこれから」(佐分利常務)だが、半面「生産性向上への潜在力が高い」(同)ともいえる。

同社ではこの1年、「People ready Business」との主題を掲げ、企業の情報システム部門の強化、課題解決を図ってきた。企業にとって最も重要な経営資源は社員であり、社員の潜在力を最大限に引き出すことこそが、ビジネスの成功につながるという意味を込めている。「『People ready Business』の発想を具現化するのが『Office SharePoint Server 2007』」(同)との位置づけになる。

企業の日常的な業務は情報を収集し、それらを検索、有用な要素を抽出、あるいは加工し、それを題材に会議を開催、論議の上承認、実行、というような流れになるが、効果を最大化するためには「タスクごと、ポイントポイントでの最適化ではなく、業務の流れすべてを一貫した全体最適化が必要になる」(同)ことから、同社では、BI(Business Intelligence)、コラボレーション、企業内ポータル、検索、コンテンツ管理など多様な機能を備えた「Office SharePoint Server 2007」を、その中核と考えている。

これらの機能のうち、同社は特に検索を重視している。「90年代半ばと比べると、最近の企業の従業員が1日に接する情報量は当時のおよそ400倍になっている。日々の業務の1/3は検索の作業に費やされているという数値さえある」(同)からだ。佐分利氏は「検索は、ビジネスの生産性を高める重要な機能であり、エンタープライズサーチをキーワードに、企業規模、用途ごとのさまざまな要求に対応していきたい」と話す。同社では、部門、中小規模向けには「Microsoft Search Server 2008 Express」を無償で配布、インフラ向けには「Microsoft Search Server 2008」を提供、さらに大規模向けには、今年1月に買収を発表した、ノルウェーのFast Search & Transferの製品が加わることとなる。

同社によれば「Office SharePoint Server 2007」は同社2008会計年度で、売上高が全世界で10億ドルを超え、6月末までには同じく、1万7,000社以上に1億ライセンスを販売する見通しであるという。「マイクロソフトの歴代サーバ製品のなかでは最も成長率が高い。製造業、金融、流通、医療機器など、幅広い分野で導入されており、プラットフォームとして柔軟で拡張性が高いことなどが評価されている。また、ほとんどの顧客は、検索を重点としている」(同)との状況だ。「『Office SharePoint Server 2007』への需要に対し、かつてはパートナーが足りなかったが、最近ではパートナーは20社にまで拡大しており、顧客を待たせる例は少なくなっている」(同)という。

「Microsoft Windows Server 2008」日本語版パッケージの販売が4月16日から開始されたが、佐分利氏は「『Office SharePoint Server 2007』は、『Windows Server 2008』や『SQL Server 2008』と100%整合性があり、これらとの連携により、さらに大きなメリットがある」。また「企業内には、ERP、CRMなど多くのソリューションがあり、『Office SharePoint Server 2007』を中心に、人と情報を連携させ、ワークスタイルを革新していきたい」とした。

佐分利氏は「『Office SharePoint Server 2007』は、企業内に蓄積されているさまざまビジネスデータや、従業員一人一人の潜在的な力を有効に活用することが可能だ。2001年に投入を開始して以来3つ目の版になるが、いまや『Microsoft Office』の中核となり、革新的な機能を提供し続けている。マイクロソフトは情報の活性化と社員力の最大化を目指し、『Office SharePoint Server』への投資をさらに継続していく」と述べ、講演を締めくくった。