韓国ではオンラインゲームなどの競技のことを「eスポーツ」と呼んでいる。プロやアマチュアのオンラインゲーム選手がおり、彼らが所属する選手団もあって、ゲーム大会が頻繁に開催されている。eスポーツ振興のため「社団法人 韓国eスポーツ協会(以下、KeSPA)」なるものも設立されており、その活動は本格的だ。

そのKeSPAが最近、13~39歳の男女800人を対象に、eスポーツに関するオンライン調査を行った。

プロ野球よりも「eスポーツ」が人気?

「もっともよく見るスポーツプログラム」(複数回答可)に関して尋ねたところ、eスポーツは33.7%で全体の2位となっている。1位は57.3%のサッカー、3位は31.8%の野球、4位は20%の異種格闘技、5位は19.4%のバスケットボールだ。eスポーツがメジャーなスポーツと対等に人気を張り合っていることが分かる。

ちなみに「eスポーツはスポーツだと考えるか?」との質問には44%が「肯定する」、32.8%が「普通」と、それぞれ答えており、"eスポーツをスポーツの一種と認知"している割合も半数近くに達していることがわかった。肯定する理由としては「選手間の競争を通じて勝敗を決める競技だという点」が42.1%を占めた。

おもに観戦するeスポーツの種目は86%の「StarCraft」(スタークラフト、RTSゲーム)だった。eスポーツを競技場で実際に見たことのある場合、観覧した種目も94.1%がStarCraftということで、同ゲームの人気が韓国でどれほど強大であるかが伺える。米ブリザード・エンターテインメントの同ゲームは、韓国の国民的ゲームのような存在で、人気のeスポーツ選手も多い。

たとえばプロeスポーツ選手のイム・ヨファン選手は「テランの皇帝」と呼ばれ、大変な人気を誇っている。現在は韓国男性の義務である軍隊に入隊しているので、以前のように目立った活動はできていない。しかし2007年4月、同選手が属する空軍内に「ACE」というゲーム団が創設され、この一員として各種競技会に出場している。

空軍ACEの面々

空軍ACEに限らず、韓国にはゲーム団がいくつかあり、それらの間でリーグ戦が行われたりもする。ゲーム団は企業などがスポンサーになっており、試合で勝利するほどゲーム団の認知度や企業イメージもアップするため、企業にとっても大事な広報手段だ。

今回の調査でもっとも認知度の高いゲーム団は、携帯電話事業者のSK Telecomによる「SKT T1」で50.6%を占めた。続くのがこちらも携帯電話事業者KTFの「MagicNs」、Samsung電子「KAHN」、「空軍 ACE」といった順になっている。

ゲーム団の認知度はKeSPAによると「最近のゲーム成績よりは、(eスポーツ界に)長くいる選手が所属しているチームであるほど高い」ということで、やはり"役者"の存在はeスポーツ界でも大事なようだ。

eスポーツが産業に成長

今回の調査からわかることは、韓国でeスポーツはれっきとしたスポーツとして認知され、企業や公的企業も参加して市場を作り上げている、ひとつの産業となっているということだ。最近はプロだけでなくアマチュアの育成も盛んで、行政でもイベントの一環としてオンラインゲーム大会を開催する動きが活発なため、eスポーツの市場は今後もさらに拡大していくことが見込まれる。