米Microsoftによるサーバ製品ローンチイベントが2月27日(現地時間)、米カリフォルニア州ロサンゼルス市内で開催された。Window Server 2008関連の3大製品の正式ローンチという位置付けだが、1つの製品はすでに出荷が開始され、またもう1つの製品は正式リリースまでさらに数カ月ほどを要することになる。今回のイベントは製品そのものよりも、むしろそれを使う側にフォーカスを当てたイベントだったといえるだろう。

キーノート会場となった米カリフォルニア州ロサンゼルス市内のNokia Theater。周辺の道路は閉鎖され、来場者のための特設テントが設けられている。本会場となるLos Angeles Convetion Centerと同シアターを挟む形で、NBAのLA Lakers本拠地のStaples Centerが居を構える

「Dynamic IT」と「Windows Server 2008」

Microsoftにとっての最大の資産はその製品ポートフォリオもさることながら、プラットフォームを支える数多くのデベロッパやIT技術者、マネージャー、そしてパートナーの存在にある。同時にそれぞれの開発者やパートナーは多くの顧客を抱えており、これらMicrosoftのサポーターとも呼べる人々からの意見を吸い上げることこそが、Microsoftにとっての使命となっている。イベント名の「Heroes Happen Here(ヒーローはここにいる)」も、現代社会になくてはならないITインフラを支える存在でありながら、実際には表に出ることはないこうしたサポーターたちの存在を改めて強調し、ともに歩んでいきたいというMicrosoftの意志の表れかもしれない。

「Heroes Happens Here」は、2008年のMicrosoftを代表する3つの製品のローンチイベントだ。そのテーマはITインフラを支える陰の主役(ヒーロー)たちにスポットを当てることにある

情報テクノロジーのトレンドは常にめまぐるしく変化し、時にトレンドの渦に呑まれ、そのキャッチアップのためにもがくこともしばしばだ。ITをビジネス上の武器にする「Dynamic IT」を実現するためには、こうしたITにおける押し寄せる課題を解決し、本来の意味でビジネスのためのシステム作りを行わなければならない。「今日ここで話すことは、われわれがユーザーからのヒアリングで得た4つの最大の関心事だ」と米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏は述べ、「Manage Complexity, Achieve Agility(複雑性の管理とアジリティの達成)」「Protect Information, Control Access(情報保護とアクセスコントロール)」「Advance the Business with IT Solutions(ITソリューションでのビジネスの促進)」「Amplify the Impact of Your People("顧客"や"ターゲット"への影響力拡大)」をDynamic IT実現のための課題として挙げた。こうしたいくつかの過程を経て、最終的にDynamic ITに到達するための手法をBallmer氏は「Infrastructure Optimization Model(インフラ最適化モデル)」と呼んでいる。

米NBC NewsのアンカーマンであるTom Brokaw氏がイベントのキックオフを行った。地球規模でさまざまな課題が噴出する中、ITが果たすべき役割と重要性を語る

米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏。同社の製品ローンチイベントでありながら、今回の主役は参加者でもあるIT技術者やマネージャーたちであるため、力強いスピーチで有名な同氏の講演も、今回はいささかトーンが変わっていた印象がある

それを実現するのが過去1年間に同社がリリースしたWindows Vistaや2007 Office Systemであり、さらに今回のサーバ製品リリースとVista SP1の登場がそれを補完することになるというのが同氏のアピールポイントだ。ナレッジワーカーの生産性を向上させると同時に、よりビジネスを構築するうえでの管理の容易性や信頼性などを強化したことが、今回のサーバ関連新製品での最大の特徴といえそうだ。

コンピュータそのものが持つ煩雑性や種々の問題にとらわれて時間やコストを割くのではなく、よりビジネスの本質的な部分に力を注ぐことで、ITを本当の意味でのビジネス戦略上の道具としていこうというのが「Dynamic IT」のアイデアだ