韓国のコンピュータプログラム保護委員会(以下、保護委)は「2007年度 ソフトウェア正規使用実態および意識調査研究」の結果を発表した。

この調査は企業部門と家庭部門に分かれている。企業部門に関しては、計1,225の企業のPCにインストールされたソフトウェアを直接調査。ソフトウェアの個数とライセンス数とを照らし合わせることで、不法複製率を算定する方法をとっている。一方、家庭部門では計1,228戸に対して調査を実施。ちなみに個人的な利用目的で複製する場合は不法にはならないため、本調査の家庭部門においては単にソフトウェアの「複製率」と定義している。

この結果、企業部門のソフトウェア不法複製率は25.03%、家庭部門の複製率は48.41%となった。

保護委は家庭部門の複製率が高い理由として「家庭ではソフトウェアの管理や点検が体系的に行われておらず、P2Pやファイル共有サイトなどを通じて、簡単にソフトウェアを入手できるため」と説明している。

複製されたソフトウェアの入手経路としても、P2Pはメジャーな存在だ。複製ソフトウェアの入手経路を尋ねた結果、「P2Pなど、インターネットを通じたダウンロード」が25%を占めていた。

ただしこれより多かったのが「コンピュータを購入した時、すでにインストールされていた」という回答だ。回答率は43.5%にものぼる。PC購入時からあるソフトウェアが不法複製品であるというのは、PCを売る側としてもやってはいけないことではあるが、オプションサービスの一環などとしてソフトウェアを無償でインストールしてくれる店も一部ある。ここから分かることは結局、売り手もP2Pなどを利用しているということであり、インターネットの影響力がいかに大きいかをはかり知ることができる。

また、不法複製する理由としては「ソフトウェアの価格が高いので」が39.6%を占めもっとも多く、これに「複製ソフトウェアの入手が容易なので」(27.9%)と続く。逆に「経済的負担であっても、正規のソフトウェアを購入する」と述べている企業は22.3%にとどまっており、安くて入手が容易な不法複製ソフトウェアへの依存度は高いといえる。

このように不法複製が多いのは、入手が容易というだけでなく、ユーザー側の認識不足もあるようだ。「ソフトウェアの不法複製を、犯罪として認識している」と答えた人は24.3%であったほか、31.3%が「正規のソフトウェアを使っていると、それだけの自負心を感じる」と回答したにとどまった。

BUSINESS SOFTWARE ALLIANCEは「2008 ソフトウェア経済報告書」にて、2008年から2011年までの4年間、ソフトウェアの不法複製率を10%減らした場合に発生する経済的効果を分析している。

これによると韓国の場合、ソフトウェアの不法複製率を10%でも減らせば、13億USドル(約1,392億8,200万円/1ドル=107.14円)もの経済成長と、7億USドル(約749億9,799万円)の追加租税収入を創出することができるとしている。それほど不法複製ソフトウェアの経済的打撃は大きく、かつ問題も深刻だ。

保護委では「ソフトウェアの知的財産権に対する認識水準が大変低く、これに関する教育や広報が必要だ」と述べている。