大手メモリベンダQimondaの日本法人であるキマンダジャパンは、2008年度第1四半期(2007年10-12月)業績を発表した。Qimondaの同四半期における売上高は前年同期比56.3%減の5億1,300万ユーロ(約799億3,394万円)。また、営業損益は前年同期の2億900万ユーロ(約325億6,568万円)の黒字から5億8,500万ユーロ(約911億5,273万円)の赤字、純損益は前年同期の1億7,700万ユーロ(約275億7,955万円)の黒字から5億9,800万ユーロ(約931億7,835万円)の赤字へとそれぞれ転落した。業績の大幅な悪化は、ビットベースによる出荷量が前年同期比で73%増と伸びたものの、平均売価が前年同期比72%減と下落したことに起因する。なお、同四半期の売上高の大幅なマイナスについてQimonda社長兼CEOのキンワー・ロー氏は、「さまざまな政策を実行したものの、DRAM価格が40%以上下落した影響が大きかった」とのコメントを発表している。

キマンダジャパン代表取締役社長 馬場久雄氏

同四半期の総売上高における地域別売上高比率は、アジア・太平洋地域が36%、北米が34%、欧州が17%、日本が13%となった。日本地域の比率は2006年度が7%、2007年度が12%と着実に成長してきており、これに対しキマンダジャパン代表取締役社長である馬場久雄氏は「ゲームやデジタルスチルカメラ、デジタルテレビを中心としたコンシューマおよびグラフィック関連のカスタマが増大した結果」とし、「2008年度第2四半期は14%まで比率を伸ばせると予測する」と今後も日本地域の比率を増していくことに意欲をみせた。

キマンダの地域別販売比率推移(日本地域の比率が着実に上昇しているのが分かる)

プロセスの微細化に関して同社は、2007年末までに製品の50%以上を80nmならびに75nmのプロセスに移行しており、今後はこの比率を2008年3月までに75%、同9月までに90%まで高めるほか、次世代プロセスとなる58nm製品に関しては2008年第3四半期に立ち上げを予定している。また、プロセスの微細化に併せ生産効率の改善も進めており、製造委託を行っている中国Semiconductor Manufacturing International (SMIC)ならびに独Infineon Technologiesの200mmウェハ生産を終了させたほか、同四半期におけるビット当たりの生産コスト約20%削減を達成している。

2008年のDRAM市場は、全体のビットベースの伸長率が50~60%と予測。アプリケーション別のビット伸長では、サーバで65%、パソコンで40~50%、グラフィックスカードで40%、デジタルテレビで65%、携帯電話で70%と予測している。このような予測の下、キマンダジャパンでは、2008年度の重点施策として"デジタルコンシューマ市場におけるビジネスの深耕"を掲げている。すでにその対応策として、本社組織であるコンシューマ製品事業本部(PLC)を立ち上げ、ワールドワイドの戦略を日本で行っているほか、ソニーと合弁でカスタムDRAMの設計会社「クリアティックデザイン」を2007年11月30日に設立している。

カスタムDRAMは汎用DRAMと比べ、高いバンド幅と低消費電力を実現することができるのが特徴。また、アプリケーションに最適なメモリを提供することが可能なのも特徴だ。両社が合弁会社としてクリアティックデザインを設立した背景には、Qimondaが採用しているトレンチ型のメモリセルは、他のメモリメーカーが採用するスタック型セルと比べ低消費電力あるということと、ソニーがSoC(System on Chip)に混載するEmbedded DRAMでトレンチ型を採用してきたことがある。こうした技術的な共通点もあったことから、クリアティックデザイン代表取締役社長の柏木豪氏は「それならば両社の製品設計力を強化する意味合いで新会社を設立しよう」ということになったと述べている。

クリアティックデザイン代表取締役社長 柏木豪氏

同社は、すでに2タイプの設計を受託しており、2008年度(2007年10月~2008年9月)後半から2009年度(2008年10月~2009年9月)にかけて1タイプを設計する予定だ。また、「今後2 - 3年の間で、年間4タイプの設計能力を確保することを目的に人員拡充を図っていきたい」(柏木氏)としている。

ソニーの開発によるカスタムDRAM