アイログは27日、同社のBRMS(Business Rule Management System、ビジネス・ルール管理システム)の最新版「ILOG JRules 6.5」日本語版を発表した。発売および出荷開始は9月8日の予定。価格は最小構成時のライセンスで873万円から。

ILOG JRules 6.5では、「TDS(Transparent Decision Service)」機能が追加され、SOAへの対応が強化された点がポイントとなる。TDSは、JRulesで作成したビジネス・ルールをWeb Services化する機能。これを利用することで、SOA環境でビジネス・ルールをコンポーネント化して利用できるようになる。

また、新たに実装された「セマンティック・クエリ(Semantic Query)」では、定義済みのルールに対する意味を踏まえた検索が可能になる。たとえば、「契約者が18歳以上なら割引を適用する」というルールを検索する場合、従来なら指定した条件に完全に一致するルールだけが抽出されたが、セマンティック・クエリではルールの"意味"を踏まえ、「契約者が25歳以上なら割引を適用する」というルールも検索結果に含めることができるという。このため、実際に適用されるルールをもれなく抽出することができ、確実な運用管理が可能になる。

アイログ 代表取締役ゼネラルマネージャの和多田 茂氏

まず登壇した同社の代表取締役ゼネラルマネージャの和多田茂氏は、現在のビジネスに求められるITの機能として「信頼性、透明性、迅速性」を挙げ、従来はソフトウェアのさまざまな場所に分散して埋め込まれていた業務ロジックを"ビジネス・ルール"として外部化することでこれらの要件を満たすことができるとした。また、国内での販売計画に関しては、まず狙う市場として「テレコムと生損保業界」を挙げた。続く次期ターゲットと位置づけられるのは「銀行、証券、ノンバンク、製造」だという。初年度10プロジェクトの獲得を目指す。

続いて、同社のプロダクトマネージャの小野木 真理氏が、製品の概要について詳細説明を行なった。JRules 6.5は"Rule Studio""Rule Scenario Manager""Rule Team Server""Rule Execution Server"の4つのコンポーネントで構成される。企業内でBRMSに関わるユーザーとして「業務ユーザー」「開発者」「システム管理者」の3者を想定し、それぞれのニーズに対応するコンポーネントが用意されていることになる。

JRules 6.5は、「業務ユーザー」「開発者」「システム管理者」それぞれに対応するコンポーネントを提供する

Rule Studioは開発者向けのルール開発/編集環境で、開発容易性や一貫した保守性を提供する。Rule Team Serverは業務ユーザー向けのルール管理環境で、業務ポリシーを容易に、柔軟に、効率的に変更できる。Rule Scenario ManagerはWebベースのルール・テスト環境で、業務ユーザーでもルールを適用した結果業務がどうなるかを"What-If分析"の手法で簡単に確認できる。Rule Execution Serverはルール実行エンジンで、システム管理者が求めるスケーラビリティや信頼性を確保する。また、新アルゴリズムの追加によって拡張性と処理速度が大幅に向上しているという。