米Garnterは、アメリカを拠点にする225の組織を対象に実施した、IT労働市場の調査結果を発表した。調査の結果、2007年3月1日から2008年2月29日までの1年間にIT部門のスタッフを計画していると回答した企業の割合は66%で、前年の61%から増加した。しかしその一方で、従業員の離職率は前年比で1%増加し、過去3番目の高さとなり、とくに専門職で退職者が増加していることがわかった。
同社のエグゼクティブプログラム(EXP)コンテンツ開発グループの調査ディレクターのLily Mok氏は「求人市場におけるIT系人材の競争力増加により、離職者が少し増えただけでも、企業に迅速に悪影響を及ぼすとみなされている」と分析。さらに、「従業員の離職は避けられないが、適切な人材維持プログラムを導入することで、ある程度は管理できる。今回の調査結果は、離職理由として、給与、キャリア開発の機会、仕事と私生活のバランスの項目でスコアが高くなっている。これは、人材を維持するために、企業がどこにフォーカスすべきかを指し示すものだ」と解説した。
また、今回の調査期間における、昇給率の平均は3 - 4%。さらに、2007年における企業のIT系労働者への給与、およびインセンティブ報酬、奨励金への投資予算の平均は40%となり、過去数年間の平均給与上昇率と今後の企業の人材投資予算から、IT求人市場が1990年代終わりと同レベルに回復するには時間がかかると同社は予測した。
同社のEXPコンテンツ開発グループの管理部門の副社長のDiane Berry氏は「成功している企業は、雇用者と被雇用者が長く健全な関係を築くために、金銭面や労働待遇により、どうてこ入れするかをわかっている」とし、ベストな労働条件として、企業と労働者双方のニーズをバランスよく一致させることを挙げている。
また今回の調査で、最も多い退職理由のひとつとして「仕事と私生活のバランス」が挙げられた。しかし、これを実現する就労スタイルの一例である"在宅勤務制度"が導入されていると答えたのはわずか1 - 18%に留まり、「在宅勤務制度は従業員の企業への忠誠心を高めるだけでなく、生産性の向上にもなる。マネージャーは、従業員のニーズに個人として耳を傾け、それに効果的に応えることが労働者を引きつける成功要因のカギだ」と、Mok氏は提言を付け加えている。