マイクロソフト 業務執行役員 サーバプラットフォームビジネス本部 五十嵐光喜氏 |
マイクロソフトは18日、東京都目黒区で開催中の技術カンファレンス「WinHEC 2007 Tokyo」において、Windows VistaおよびWindows Server 2008(開発コード名:Windows Server "Longhorn")に関する最新状況を発表した。ここでは同カンファレンスで発表されたトッピックスの中から、Windows Server 2008に関するものをピックアップし、紹介しよう。
マイクロソフト 業務執行役員 サーバプラットフォームビジネス本部の五十嵐光喜氏は、Windows Server 2008の主な特徴を「管理機能の向上」、「保護機能の向上」、「柔軟性の向上」の3つに分類する。今回の発表では、これらのうち、特に「保護機能の向上」、「柔軟性の向上」に焦点が当てられた。
保護機能の向上
保護機能の向上という点で大きな注目を浴びているのが「Network Access Protection (NAP)」である。NAPとは、社内のセキュリティポリシーに反するデバイスがネットワークに接続されるのを防ぐテクノロジーで、Windows VistaもしくはWindows XP SP2(NAPのアドオンが必要)のクライアントに対して有効に機能する。現在提供されているWindows Server 2003でも利用可能な技術だが、Windows Server 2008では、設定可能なセキュリティポリシーを約1,000追加し、約4,000もの項目を用意している。
NAP機能を有効にしたWindows Server 2008では、アクセスしてきたPCに対して、まずは"検疫用のネットワーク(IPアドレス)"を割り当て、あらかじめサーバ内に設定されたセキュリティポリシーに準拠しているかどうかを確認する。これは、クライアント側に組み込まれたNAP対応機能がPC内部の状態を調査し、その結果をWindows Server 2008へ転送するという仕組みで実現されている。確認できる内容は、ウィルスチェックソフトの更新が適切に行われているか、Windows FireWall機能が有効になっているか、といったソフトウェア関連のものから、USBメモリなどの持ち運び可能な媒体が接続されていないかといったデバイス関連のものまで幅広い。
また、NAPは拡張可能なフレームワークとして提供されているため、Windows Server 2008の設定リストに該当項目がない場合でも、例えば「P2PソフトウェアがインストールされているPCを排除する」といったセキュリティポリシーを追加することも可能だという。
柔軟性の向上
Windows Server 2008において、柔軟性の向上を実現するうえで大きな役目を果たすのが仮想化技術である。マイクロソフトでは、サーバの仮想化、アプリケーションの仮想化、プレゼンテーションの仮想化、デスクトップの仮想化、というようにさまざまなレイヤの仮想化ソリューションを準備。さらに、仮想化によってシステムが複雑化した場合には、それらの中心に「Microsoft System Center」を据えて、システムを中央集権的に管理するというソリューションを展開している。
上で挙げた4レイヤの仮想化のうち、Windows Server 2008の影響を強く受けるのは、サーバの仮想化とプレゼンテーションの仮想化である。
サーバの仮想化に関しては、ハイパーバイザ型の仮想化基盤「Windows Server Virtualization」をWindows Server 2008と平行して開発中であり、Windows Server 2008のリリース後180日以内にリリースすることを発表している。現在提供されている仮想化ソフトウェア「Virtual Server」がゲストOSを抱えるタイプの仮想化機能であることを考えると、リリースが待ち遠しいところだ。
また、Windows Server 2008のターミナルサービスを使用すれば、プレゼンテーションレイヤの仮想化を従来よりも柔軟に行えるようになるという。従来のターミナルサービスではデスクトップそのものをクライアントへ送る仕組みになっていたが、Windows Server 2008ではWindow単位で転送することが可能である。したがって、あたかもネイティブのアプリケーションを動かしているかのように、クライアントからサーバ側のアプリケーションを使用できるということだ。
ユーザーの反応
以上のような特徴を備えるWindows Sever 2008は、「これまでのサーバOSの中で、もっとも早い立ち上がりを見せている」(五十嵐氏)という。
Windows Sever 2008 Beta3は配布開始から3週間で約100,000件のダウンロードを記録。日本語版は、リリースから1ヶ月半で25,000を配布したという。また、同社が提供するBeta3ベースのトレーニングはすでに2,500人が受講を済ませているうえ、Windows Sever 2008に対応したアプリケーションを約120社が開発中とのことだ。
Windows Sever 2008は、今年第4四半期のリリースが予定されている。本稿では触れられなかった機能も多数存在するので、興味のある方は同社サイトからBeta3をダウンロードし、試してほしい。