米ビジネスオブジェクツのジョン・シュワルツCEO

Business Objectsのジョン・シュワルツCEOが来日、同社が提唱する"BI(Business Intelligence)2.0"について語った。近年、いっそう激しく変動する事業環境、グローバル化に迅速に対応し、企業の競争力を強化するためには、俊敏さ、経営の可視化が求められる。Web2.0の思想を応用しながら、データの属性/所在、ユーザーインタフェースに制限を受けずに、データをビジネスに活用する試みが、BI2.0の考え方だ。

Web2.0は、さまざまな革命を起こし、ビジネスにも大きな影響を及ぼした。シュワルツCEOは、エンタープライズの領域にも、BI2.0で、「ネットワーク」「ユーザー」「コミュニティ」「アプリケーション」「プラットフォーム」の5つの分野で、「革命が起きる」と指摘する。BIとは本来、企業内で、いわば散逸している、さまざまな情報およびデータを収集/蓄積し、多角的な分析、容易な検索などができるようにして、事業活動のために活用しようとの発想だ。

ネットワークによる多様な情報の伝達は、瞬時に実行され、基本的には、誰もが、いつでも、どこでも、どこからでも情報を引き出し、また、やりとりすることが実現している。この事実は、経営に大きな変革をもたらした。フランスのパリにあるディズニーランドは、年間1,200 - 1,300万人もの来場者があり、米国・フロリダにある「本家」にも引けをとらなかったにもかかわらず「利益率は1/2程度」(シュワルツCEO)だった。

その理由は天候にあった。フロリダに比べ雨の多いパリでは、リソースを素早く屋内に移動させなければならない局面も出てくる。ゲートからレストランまで、来場者とのすべての接触点にデータ端末が置かれた。それにより、どの地点で行列が長くなっているか、十分に利益が上がっていない箇所などがわかり、そのような情報は、従業員に、携帯端末のBlackberryなどを介して伝えられ、従業員は、その時点ごとに最も必要とされている場所に迅速に移動するようになった。このようなアプリケーションにより「パリの利益率は、フロリダに次ぐ2位に伸びた。これは、BIの成果を行動に移した典型例だ」(同)